ポリエステル生地をミシンで縫おうとしたのに、縫い目がガタガタになったり、生地がうまく送られなかったりして困った経験はありませんか?
特に、ポリエステル100%の生地は滑りやすく、適切なミシン糸やミシン針を使わないと、うまく縫えないことがあります。また、ポリエステル生地は縫い付け時にズレやすく、破れた場合の補修や縫い方にも工夫が必要です。
しかし、適切なミシン押さえの選び方や手縫いでの補助、糸や針の種類を見直すことで、ポリエステル生地をスムーズに縫うことができます。
本記事では、ミシンでの縫いやすさを向上させるためのポイントを解説するとともに、ポリエステル生地を使ったハンドメイドで失敗しないためのコツも紹介します。ポリエステル生地のデメリットを理解し、正しい対処法を知ることで、美しい仕上がりを実現しましょう。
- ポリエステル生地がミシンで縫えない原因と対策
- ポリエステルに適したミシン糸・ミシン針・押さえの選び方
- 縫いやすくするための工夫や手縫いでの対処法
- 破れたポリエステル生地の補修方法とハンドメイドの注意点
ポリエステル生地がミシンで縫えない原因と対策
- ポリエステル生地に適したミシン糸の選び方
- ポリエステル生地に合うミシン針の種類とは?
- 縫いやすくするためのミシン押さえの活用法
- ポリエステル生地でハンドメイドする際の注意点
ポリエステル生地に適したミシン糸の選び方

ポリエステル生地をミシンで縫う際には、適切なミシン糸を選ぶことが大切です。ミシン糸の種類を間違えると、糸が切れたり、縫い目が乱れたりする原因になります。ここでは、ポリエステル生地に適したミシン糸の選び方を解説します。
ポリエステル生地には「ポリエステル糸」が基本
ポリエステル生地には、同じ素材で作られた「ポリエステル糸」を使用するのが一般的です。ポリエステル糸は、耐久性が高く伸縮性もあるため、生地との相性が良く、仕上がりも美しくなります。また、ミシンの設定を大きく変えずに縫えるので、初心者にも扱いやすいです。
番手の選び方
ミシン糸には「番手」という太さの種類があり、生地の厚さに合わせて選ぶ必要があります。
- 薄手のポリエステル生地(ブラウスや裏地など):90番の細いミシン糸
- 中厚手のポリエステル生地(スカートやワンピースなど):60番の標準的なミシン糸
- 厚手のポリエステル生地(ジャケットやバッグなど):30~50番の太めのミシン糸
例えば、ブラウスのような薄手の生地に太い糸を使うと、縫い目が目立ったり、生地が引きつったりすることがあります。逆に、厚手の生地に細い糸を使うと、強度が不足し、縫い目がほつれやすくなるため注意しましょう。
縫いやすさを向上させるためのポイント
ミシン糸を選ぶ際には、素材や番手のほかにも、以下の点に気をつけるとスムーズに縫えます。
- 滑りの良い糸を選ぶ:光沢のある高品質なポリエステル糸は、摩擦が少なく、絡まりにくいです。
- 静電気を防ぐ:ポリエステルは静電気が発生しやすいため、静電気防止加工がされた糸を選ぶのも一つの方法です。
- 耐久性を重視する:スポーツウェアやバッグなど、負荷がかかるアイテムを縫う場合は、強度の高い糸を使用すると長持ちします。
このように、ポリエステル生地には適したミシン糸を選ぶことで、仕上がりが格段に良くなります。生地の厚さや用途に応じて、適切な糸を選びましょう。
ポリエステル生地に合うミシン針の種類とは?

ポリエステル生地を美しく縫うには、適切なミシン針を使うことが欠かせません。針の種類を間違えると、生地が傷ついたり、縫い目が乱れたりする原因になります。ここでは、ポリエステル生地に合うミシン針の選び方について説明します。
針の太さ(番手)の選び方
ミシン針には「番手」と呼ばれる太さの種類があり、生地の厚さに応じて適切なものを選ぶことが重要です。
- 薄手のポリエステル生地(シフォン、ジョーゼットなど):9番
- 中厚手のポリエステル生地(ワンピースやスカートなど):11番
- 厚手のポリエステル生地(ジャケットやバッグなど):14番~16番
例えば、シフォンのような薄い生地に太い針を使うと、生地に穴が開いたり、針が引っかかって破れやすくなります。一方で、厚手の生地に細い針を使うと、針が折れやすく、うまく縫えないことがあります。
針の種類
ミシン針にはさまざまな種類がありますが、ポリエステル生地に適したものを選ぶことで、縫いやすさが向上します。
- 普通地用針(HA×1):一般的なポリエステル生地に適しています。
- 薄地用針(HA×1 9番):シフォンやジョーゼットなどのデリケートな生地向け。
- 厚地用針(HA×1 14番~16番):コートやバッグなど、厚手のポリエステル生地に適しています。
- レザー用針(皮革用針):合皮やエコレザーなどのポリエステル系素材を縫う場合におすすめです。
縫い目を綺麗に仕上げるためのコツ
適切なミシン針を選ぶことに加えて、以下のポイントに気をつけると、さらに美しく縫うことができます。
- 新品の針を使用する:長く使った針は先端が摩耗し、縫いにくくなるため、定期的に交換しましょう。
- 糸とのバランスを確認する:針が細すぎると糸が通りにくくなり、太すぎると生地に穴が開く可能性があります。
- 試し縫いをする:生地によっては針が引っかかることがあるため、裁ち端で試し縫いをしてから本縫いを始めると安心です。
このように、ポリエステル生地の種類や用途に合わせて適切なミシン針を選ぶことで、仕上がりの美しさや縫いやすさが向上します。生地の特性を理解し、最適な針を選びましょう。
縫いやすくするためのミシン押さえの活用法

ポリエステル生地は滑りやすく、縫い目がズレたり縮んだりしやすいため、適切なミシン押さえを使うことが大切です。ミシン押さえの種類を知り、状況に応じて使い分けることで、縫いやすさが格段に向上します。
標準押さえとテフロン押さえの違い
一般的なミシンには「標準押さえ」が付属していますが、ポリエステル生地の種類によっては、これだけでは縫いにくいことがあります。特に、光沢のあるポリエステルや撥水加工されたものは、押さえに生地が引っかかることがあり、縫い目が乱れやすくなります。
このような場合には、「テフロン押さえ」を使用すると効果的です。テフロン押さえは、表面が滑りやすい加工が施されているため、生地がスムーズに送られ、縫いズレを防ぐことができます。
ローラー押さえで縫いズレを防ぐ
ポリエステル生地の中でも、厚手のものや特殊加工がされている生地は、縫いズレが起こりやすいです。そのような場合には「ローラー押さえ」を使うと良いでしょう。
ローラー押さえは、小さなローラーが付いており、生地の摩擦を減らしながらスムーズに送ることができます。特に、タフタやポリエステルサテンのような光沢のある生地では効果を発揮します。
上送り押さえで均等な縫い目を実現
厚みのあるポリエステル生地を縫う際には、「上送り押さえ」が役立ちます。これは、通常の押さえと異なり、上下の生地を同時に送る仕組みになっているため、縫いズレや段差を防ぎ、均一な縫い目を作ることができます。
例えば、ポリエステルを含むキルティング生地や多層構造の布を縫う場合、この押さえを使うときれいに仕上げることができます。
ミシン押さえを活用する際の注意点
ミシン押さえを正しく使うためには、以下のポイントにも注意が必要です。
- 生地に適した押さえを選ぶ:一種類の押さえですべての生地に対応するのは難しいため、適宜交換することが重要です。
- 押さえ圧を調整する:押さえ圧が強すぎると生地が引っ張られて縫い目が歪むことがあるため、調整可能なミシンであれば圧力を弱めてみましょう。
- 試し縫いをする:本縫いの前に端布で試し縫いをすることで、押さえの効果を確認できます。
このように、ミシン押さえを適切に活用すれば、ポリエステル生地の縫いやすさが向上し、仕上がりも美しくなります。縫う生地に合わせて、最適な押さえを選びましょう。
ポリエステル生地でハンドメイドする際の注意点

ポリエステル生地は耐久性があり、シワになりにくい特性を持つため、ハンドメイド作品に適しています。しかし、特有の扱いにくさがあるため、事前に注意点を把握しておくことが大切です。
アイロンの温度に注意する
ポリエステル生地は熱に弱いため、高温のアイロンを直接当てると、生地が溶けたり縮んだりすることがあります。そのため、アイロンを使う際は「低温」または「中温」に設定し、必ず当て布をすることが必要です。
また、アイロンを長時間当てるのではなく、短時間で素早く仕上げることがポイントです。ポリエステルのシワを伸ばす場合は、スチームアイロンを使い、浮かせるようにして蒸気を当てる方法が有効です。
縫いズレやヨレを防ぐ工夫
ポリエステル生地は滑りやすいため、裁断や縫製の際にズレやヨレが発生しやすいです。これを防ぐためには、以下の工夫をすると良いでしょう。
- 待ち針ではなくクリップを使う:ポリエステルは待ち針を刺した跡が残りやすいので、布用クリップを使うときれいに仕上がります。
- しつけ縫いを活用する:特に薄いポリエステル生地はズレやすいため、ミシン縫いの前に手縫いでしつけをしておくと安心です。
- 滑り止めシートを活用する:裁断の際に生地が滑る場合は、下に滑り止めシートを敷くと作業がしやすくなります。
ほつれやすい布端の処理
ポリエステル生地の中には、布端がほつれやすいものがあります。そのままにしておくと、洗濯時に糸が出てしまい、作品の寿命が短くなることがあります。
対策として、以下の方法で布端処理を行うと良いでしょう。
- ロックミシンを使う:ほつれ防止には最も効果的な方法です。
- ジグザグミシンをかける:ロックミシンがない場合は、家庭用ミシンのジグザグ縫いで代用できます。
- 袋縫いを活用する:薄手のポリエステル生地では、袋縫いをすれば布端を完全に隠すことができ、美しく仕上がります。
糸と針の選び方も重要
ポリエステル生地は伸縮性や厚みがさまざまなため、適切な糸と針を選ぶことがスムーズな縫製につながります。
- ミシン糸:60番が一般的ですが、薄手の生地なら90番、厚手なら50番を使用すると良いでしょう。
- ミシン針:薄手は9番、中厚手は11番、厚手は14番以上が適しています。
これらを適切に使い分けることで、ポリエステル生地でもきれいに縫い上げることができます。
ポリエステル生地をミシンで縫えない時の解決策
- ミシンで縫いにくい時の手縫いでの対処法
- ポリエステル生地の縫い付けをスムーズにするコツ
- 破れたポリエステル生地の補修と縫い方のポイント
- ポリエステル100%生地のデメリットと注意点
ミシンで縫いにくい時の手縫いでの対処法

ポリエステル生地は滑りやすく、薄いものから厚手のものまで種類が多いため、ミシンでうまく縫えないことがあります。そのような場合は、手縫いを活用することで、きれいに仕上げることができます。ここでは、ポリエステル生地を手縫いで縫う際のポイントを解説します。
手縫いに適した糸と針の選び方
ポリエステル生地を手縫いする場合、適切な糸と針を使うことで、仕上がりの美しさや耐久性が向上します。
- 糸の選び方
- 薄手のポリエステル(シフォン、ジョーゼットなど):絹糸またはポリエステル90番の糸を使用すると、縫い目が目立ちにくく、ほつれにくくなります。
- 中厚手のポリエステル(ワンピースやスカートなど):ポリエステル60番の糸が適しています。
- 厚手のポリエステル(バッグやジャケットなど):50番~30番の太めの糸を使うと強度が増します。
- 針の選び方
- 薄手の生地:9番~11番の細い針を使用すると、生地を傷めずに縫えます。
- 厚手の生地:14番以上の針を使うことで、スムーズに縫うことができます。
基本的な手縫いの方法
ポリエステル生地を手縫いする際は、縫い目の強度や見た目を考慮し、適切な縫い方を選ぶことが重要です。
- 本返し縫い(強度が必要な箇所向け)
- 縫い目がしっかりしており、強度が必要な部分に適しています。
- 一針進んだ後、半針分戻りながら縫う方法で、丈夫に仕上がります。
- 半返し縫い(柔軟性が必要な部分向け)
- 伸縮性のあるポリエステル生地には、完全な本返し縫いではなく、少し間隔を空けた半返し縫いをすると、縫い目がつれにくくなります。
- まつり縫い(目立たせたくない部分向け)
- 裾上げなどで縫い目を目立たせたくない場合は、細かいまつり縫いをするときれいに仕上がります。
手縫いの縫い方の詳細は、クチュリエブログというサイトで詳しく解説されています。気になる方は参考にされてください。〉クチュリエブログ
手縫いで縫う際の注意点
- 糸を短めにする:ポリエステルの糸は絡まりやすいため、長く取りすぎないことが大切です。
- 布端の処理をする:ポリエステル生地はほつれやすいものが多いため、ほつれ止め液を使うか、縁かがりをしておくと長持ちします。
- 針の通りが悪い場合:厚手のポリエステルを手縫いする際に針が進みにくいと感じたら、ろうそくの蝋を針に軽く塗ることで滑りが良くなります。
このように、ミシンで縫いにくい場合でも、適切な手縫いの方法を活用すれば、ポリエステル生地でもきれいに仕上げることができます。
ポリエステル生地の縫い付けをスムーズにするコツ

ポリエステル生地は滑りやすく、ミシンで縫う際にズレやすいという特徴があります。また、アイロンが効きにくいものも多いため、布端の処理や縫い付けの工夫が必要です。ここでは、ポリエステル生地をスムーズに縫い付けるためのコツを紹介します。
縫いズレを防ぐ方法
ポリエステル生地を縫い付ける際、ズレやすい原因は「生地の滑りやすさ」と「ミシンの押さえ圧の影響」です。以下の方法を試すことで、縫いやすくなります。
布端の処理をする
ポリエステル生地は、カットした部分がほつれやすいものが多いため、布端の処理をしておくと、仕上がりが美しくなり、長持ちします。
- ジグザグミシンを使う
- ロックミシンがない場合は、家庭用ミシンのジグザグ縫いを活用するとほつれを防げます。
- 縫い代部分に細かいジグザグミシンをかけることで、ほつれにくくなります。
- 袋縫いをする
- シフォンやジョーゼットなどの薄いポリエステル生地は、袋縫いをすると、布端が隠れて仕上がりが美しくなります。
- 一度表側に折り返して縫い、再度裏側に返してもう一度縫うことで、丈夫な仕上がりになります。
仕上がりをきれいにする工夫
- アイロンは低温でかける
- ポリエステル生地は高温のアイロンに弱いため、低温で短時間かけるようにしましょう。
- スチームアイロンを使い、生地に直接触れないようにすると、熱ダメージを防げます。
- 縫い目を細かく設定する
- 縫い目が大きすぎると、生地がズレやすくなるため、通常より細かい縫い目(2.0mm程度)に設定すると仕上がりがきれいになります。
このように、ポリエステル生地をスムーズに縫い付けるためには、生地の固定方法、ミシンの設定、布端の処理を工夫することがポイントです。適切な対策を行うことで、美しい仕上がりを実現できます。
破れたポリエステル生地の補修と縫い方のポイント
ポリエステル生地は耐久性が高いものの、摩擦や引っかかりによって破れることがあります。特に、薄手のポリエステル生地は破れやすく、補修方法を誤るとさらにダメージが広がることもあります。ここでは、破れたポリエステル生地を補修する方法と、縫い方のポイントを紹介します。
破れたポリエステル生地を補修する方法
ポリエステル生地の破れ方によって、適切な補修方法を選ぶことが大切です。
破れたポリエステル生地を縫う際のポイント
縫い方を工夫することで、補修跡が目立たず、丈夫な仕上がりになります。
- 適切な糸と針を選ぶ
- ミシン糸:一般的な60番のポリエステル糸が適しています。薄手の生地なら90番、厚手なら50番が良いでしょう。
- ミシン針:薄手の生地なら9番、中厚手は11番、厚手は14番以上を使用するとスムーズに縫えます。
- 縫い目を細かく設定する
- 縫い目を通常より細かく(2.0mm前後)設定すると、ほつれにくくなります。
- 縫い始めと縫い終わりは、返し縫いをしてほつれを防ぎましょう。
- 布端の処理を忘れずに
- 破れた部分の端をそのままにすると、さらにほつれる原因になります。
- ジグザグミシンやロックミシンで端処理をするか、手縫いの場合はかがり縫いをして補強すると良いでしょう。
- アイロンを低温で使用する
- 補修部分にアイロンを当てる際は、低温で短時間にすることで、生地のダメージを防げます。
- 必ず当て布をして、熱による溶けや変形を防ぎましょう。
このように、破れたポリエステル生地は適切な補修方法を選び、縫い方を工夫することで、きれいに修復することができます。補修後の耐久性を高めるためにも、ほつれ防止や補強を意識して作業しましょう。
ポリエステル100%生地のデメリットと注意点

ポリエステル100%の生地は、耐久性が高く、シワになりにくいなどのメリットがありますが、いくつかのデメリットもあります。使用する際には、特性を理解し、適切なケアや対処をすることが大切です。
ポリエステル100%生地のデメリット
ポリエステル100%生地を使用する際の注意点
デメリットを理解した上で、ポリエステル生地を適切に扱うことで、快適に使用できます。
このように、ポリエステル100%生地にはいくつかのデメリットがありますが、適切な対策を取ることで、快適に活用できます。特性を理解し、メンテナンスを意識しながら使うことで、長く美しい状態を保つことができます。
まとめ:ポリエステルがミシンで縫えない原因は、糸・針・押さえの選び方と設定!
- ポリエステル生地がミシンで縫えない原因は滑りやすさや厚みの違い
- ミシン糸は生地に合わせて番手を選ぶことが重要
- ポリエステル生地にはポリエステル糸が適している
- ミシン針の太さは生地の厚さに応じて選ぶべき
- 薄手の生地には9番、厚手には14番以上の針が適している
- 縫いズレを防ぐためにテフロン押さえや上送り押さえを活用する
- 静電気の影響を受けやすいので、静電気防止加工の糸を使うと良い
- 縫い始めに試し縫いをすることでトラブルを防げる
- 低温アイロンを使い、生地のダメージを防ぐことが必要
- ミシン押さえの種類を変えることで縫いやすさが向上する
- 手縫いで補修する場合は、糸の太さと縫い方を工夫する
- 破れた生地は接着芯や補強布を使って補修すると丈夫になる
- 布端の処理をしないとほつれやすくなるため対策が必要
- 洗濯時はネットに入れ、摩擦を抑えることで毛玉を防げる
- ポリエステルは熱に弱いので、乾燥機の使用には注意が必要