アルマーニのオーダースーツ、いつかは着てみたいと憧れている方も多いのではないでしょうか。特別な一着を仕立てるとなると、やはり気になるのがその値段ですよね。
アルマーニのオーダースーツの値段をいざ調べてみても、公式サイトにはっきりとした価格が書かれていません。それもそのはず、アルマーニのオーダーにはいくつかの種類があって、選ぶものによって価格帯が大きく変わってくるからなんです。
ブランドラインであるジョルジオ・アルマーニとエンポリオ・アルマーニの違いだけでなく、オーダーのサービス内容にもメイド・トゥ・メジャー(MTM)やメイド・トゥ・オーダー(MTO)といった階層があります。中には日本限定のサービスもあるみたいですよ。
それぞれのサービスで納期やオーダーできる店舗も異なります。この違いを知らないままお店に行くと、どれを選べばいいか迷ってしまいます。
そこでこの記事では、アルマーニのオーダースーツに関する値段やサービスの違いについて、私が調べた情報を分かりやすくまとめました。
- アルマーニのオーダーサービス3つの違い
- ジョルジオとエンポリオの価格帯の目安
- それぞれのオーダー方法と納期の違い
- オーダー可能な店舗や生地についての情報
アルマーニのオーダースーツ|値段を決める2軸
アルマーニのオーダースーツの値段を考えるとき、まず押さえておきたいのが「ブランドライン」と「サービスの種類」という2つの軸です。この組み合わせによって、価格や納期、作れるスーツのスタイルが全く異なってきます。
「アルマーニのオーダースーツ」と一口に言っても、実態は大きく分けて3つの異なるサービスが存在します。まずは、この基本的な違いを詳しく見ていきましょう。
最高峰のジョルジオ・アルマーニ

「ジョルジオ・アルマーニ」は、言うまでもなくブランドの頂点に位置するファーストラインです。これは、デザイナーであるジョルジオ・アルマーニ氏の美学が最も色濃く反映されたコレクションであり、ブランドの哲学そのものを体現しています。
素材は世界中から厳選された最高級のものだけを使用し、イタリアの伝統的な仕立て技術(サルトリア技術)で作られています。流行を追うのではなく、時代を超越したエレガンスと究極の着心地を追求するのが、このラインの神髄です。
そのため、既製品のスーツだけでも、価格帯は約55万円から87万円ほど(海外価格からの換算目安)と、すでに別格のオーラを放っています。オーダーサービスも、このラインでは「メイド・トゥ・メジャー」と「メイド・トゥ・オーダー」という2種類が用意されており、まさに本物を知る大人のためのサービスと言えます。
エンポリオ・アルマーニのモダンさ

一方、「エンポリオ・アルマーニ」は、より現代的でモダンなスタイルが特徴のセカンドラインです。「エンポリオ」とはイタリア語で「市場」を意味し、その名の通り、ファーストラインの哲学を受け継ぎつつも、より幅広い層に向けた、現代的で実験的なデザインを特徴としています。
ジョルジオ・アルマーニが「究極のエレガンス」を追求するのに対し、エンポリオ・アルマーニは都市生活にフィットする、シャープでトレンド感を意識したシルエットが多く見られます。ターゲット層もジョルジオ・アルマーニより若く、ファッションへの感度が高い人々が中心です。
既製品のスーツは、国内価格で約17.5万円から26.3万円ほど。ジョルジオ・アルマーニとはスタートラインが大きく異なります。こちらのラインでは、「メイド・トゥ・オーダー」というサービスが提供されています。これがまた、ジョルジオ・アルマーニとは少し内容が違うようです。
究極のメイド・トゥ・メジャー

アルマーニのオーダーサービスで、紛れもなく最上位に位置するのが「ジョルジオ・アルマーニ メイド・トゥ・メジャー(MTM)」です。
これは単なるサイズ調整ではありません。「究極のカスタムメイド」とされ、ジョルジオ・アルマーニの美学と、顧客一人ひとりの身体的特徴を完璧に融合させることを目的とした「体験」そのものです。
MTMのプロセス:単なる採寸ではない
MTMの核心は、その詳細な採寸プロセスにあります。なんと、最大40箇所にも及ぶ詳細な身体測定が実施されるとのこと。これは、単に胸囲や袖丈を測るだけではありません。肩の傾斜、姿勢(反り身や猫背など)、左右の腕の長さの違い、体の厚みといった、個々人の「クセ」を徹底的に把握するためです。
さらに重要なのが、採寸データに基づき作成された「仮縫い」のスーツを試着するフィッティング(仮縫い)のセッションが含まれることです。静止状態では分からなくても、動いた時に生じるシワやツッパリを専任のテーラーが確認し、ミリ単位での微調整を行います。この「体型補正」こそが、MTMの最大の価値であり、MTOとの決定的な違いとなります。
メイド・トゥ・メジャー(MTM)の特徴
- 専任のテーラー(Made to Measure Specialist)によるコンサルテーション
- 最大40箇所の詳細な身体測定(姿勢やクセの把握)
- 「仮縫い」によるフィッティングセッションが必須(体型補正のため)
- ミラノのアトリエで専属の職人が顧客のためだけの一着を仕立てる
- スーツからコート、イブニングウェアまでトータルオーダーが可能
すべての補正データはミラノのアトリエに送られ、顧客のためだけの一着が仕立てられます。まさに「究極の一着」を作るための、最高峰のサービスです。
迅速なメイド・トゥ・オーダー

「メイド・トゥ・オーダー(MTO)」は、MTMとは異なる魅力を持つサービスです。MTMが「究極のフィット(体型補正)」を追求するのに対し、MTOは「迅速性」と「パーソナライゼーション(個性化)」に焦点を当てています。
最大の特徴は、MTMのような詳細な採寸が不要であること。既存のサイズ(ベースモデル)の中から自分に最も近いものを選び、そこから好みの生地や裏地、ボタンなどを選んでパーソナライズしていくスタイルです。
ジョルジオ・アルマーニのMTOとエンポリオ・アルマーニのMTOの違い
このMTOは、ジョルジオ・アルマーニとエンポリオ・アルマーニの両方で提供されていますが、その内容は異なります。
エンポリオ・アルマーニ MTOは戦略的な「エントリーモデル」
エンポリオ・アルマーニのMTOは、ナローラペルのスリムフィットモデルや、カーディガンのようなカジュアルモデルなど、ブランドのモダンな特性を反映したスタイルが中心です。シャツにイーグルマークの刺繍を入れるといったオプションも用意されています。
これは、従来のアルマーニが持つ「高価格」「敷居の高さ」といったイメージを取り払い、日本の若い世代や初めてアルマーニのオーダーを体験する層に対し、「既製品+α」の価格で「パーソナライズされた体験」を提供する、戦略的な「エントリーレベル・カスタマイゼーション」であると私は分析しています。
オーダーの納期目安
これら3つのサービスは、納期も明確に異なります。どのくらいの期間で手元に届くのかは、計画を立てる上で重要ですよね。
| サービス名 | 納期(目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| ジョルジオ・アルマーニ MTM | 約7~8週間 | 採寸、パターン補正、仮縫いなど全工程に時間を要する |
| ジョルジオ・アルマーニ MTO | 約4~5週間 | 採寸や仮縫いが不要なため、納期が大幅に短縮される |
| エンポリオ・アルマーニ MTO | 約4~5週間 | ジョルジオ・アルマーニ MTOと同等の迅速な納期を実現 |
納期の違いが意味すること
ジョルジオ・アルマーニのMTMの納期がMTOより約3週間も長いのは、単なる順番待ちではありません。これは、「最大40箇所の採寸データの分析」「顧客専用のパターン(型紙)の根本的な補正」「仮縫い用スーツの作成とフィッティング」「ミラノのアトリエでの専属職人による縫製(特別な手縫い指定などを含む)」といった、高度に専門化されたテーラーの技術と工数が加わるためです。
この「時間の差」こそが、MTMの付加価値であり、価格に反映される最も大きな要因の一つと言えます。
アルマーニのオーダースーツ|値段と購入方法
さて、いよいよ本題の「値段」についてです。前述の通り、アルマーニはオーダー価格を公式に発表していません。これには2つの理由があると私は考えています。
- 実務的な理由:オーダーメイドの価格は、選択する生地(標準的なウールか、カシミアやビキューナといった希少素材か)、ディテール(本切羽、ステッチの仕様など)、そしてMTMの場合は体型補正の難易度によって、文字通り一点ごとに「無限」に変動するためです。
- 戦略的な理由:「XX円から」と最低価格を提示することは、ブランドが提供したい最高級の体験(=価格を気にせず、専任テーラーと対話しながら最高のものを選ぶ)を阻害する可能性があります。価格を明示しないこと自体が、ラグジュリーブランドとしての価値を高める戦略と言えます。
とはいえ、大まかな予算感は知りたいですよね。ここでは、既製品の価格や公開されている一部のオーダー品価格を基にした、論理的な「推定価格帯」を探っていきます。
価格に関するご注意
ここで紹介する価格帯は、公開されている既製品の価格や一部のオーダーアイテムの価格を基にした、あくまで個人的な「推定」です。
選択する生地(カシミアやビキューナなど)やカスタマイズの内容によって、価格は大きく変動します。正確な金額については、必ずお近くのブティックで専任のスタッフに見積もりをご依頼ください。
ジョルジオ・アルマーニ MTMの推定価格
推定スタート価格帯: 150万円 ~ 200万円以上
ジョルジオ・アルマーニの最上位サービス「メイド・トゥ・メジャー(MTM)」。これは、後述するMTO(推定100万円~)の価格を確実に上回ると考えられます。
価格が上昇する最大の要因は、生地代以上に、「最大40箇所の採寸」「仮縫い」「専任テーラーによるパターン補正」といった、高度な技術料と人件費(工数)です。これは、単なる縫製費用ではなく、何十年もの経験を持つマイスター(職人)の「時間」と「技術」に対して支払う対価です。
公式情報で「MTOのレザージャケットが143万円から」というデータがあることを踏まえると、それ以上の手間(採寸とフィッティング)がかかるMTMのスーツは、最低でも150万円から、一般的には200万円を超える予算感が必要になる可能性が極めて高いと推測されます。
もちろん、これは「スタート価格」の推定です。仮にビキューナやベビーカシミアといった超高級素材を選んだ場合、価格は300万円、400万円と、文字通り青天井になる世界です。
ジョルジオ・アルマーニ MTOの推定価格
推定スタート価格帯: 100万円 ~ 150万円
「ジョルジオ・アルマーニ MTO」は、採寸不要の迅速なサービスです。しかし、ベースとなる既製品の価格帯が約55万円~87万円であることを考えると、これが絶対的な最低ラインとなります。
ここで重要なヒントとなるのが、同じMTOサービスで「グローブレザージャケット」のオーダー価格が「143万円(税込)から」と明記されている点です。スーツの仕立ても、レザージャケットの縫製と同様か、それ以上に複雑なテーラリング技術を要します。
既製品の最高級ライン(約80万円台)をベースに、MTOのアップチャージ(パーソナライズ費用)と高級生地の選択を考慮すると、現実的なスタートラインは100万円から、選ぶ生地によっては150万円~200万円の範囲になっても全く不思議ではありません。
ジョルジオ・アルマーニ MTOが向いている人
このサービスは、「体型は比較的スタンダードで、MTMほどの厳密な補正は必要ない」しかし、「既製品にはない、自分だけの特別な生地や、こだわりのディテール(裏地やボタン)を選びたい」という方に最適な選択肢と言えそうです。
エンポリオ・アルマーニ MTOの推定価格
推定スタート価格帯: 25万円 ~ 40万円
「エンポリオ・アルマーニ MTO」は、日本限定のセミオーダーです。これは、初めてアルマーニのオーダーを体験する層に向けた、戦略的な「エントリーレベル」のサービスと言えます。
ベースとなる既製品の価格帯(約17.5万円~26.3万円)に、カスタマイズ費用が上乗せされる形になります。採寸不要でシンプルなカスタマイズであることを考慮すると、アップチャージはジョルジオ・アルマーニほど高額にはならないはずです。
既製品価格に+30%~60%程度の上乗せと仮定すると、推定開始価格は25万円~40万円程度からになると推測されます。これは、ジョルジオ・アルマーニの価格帯とは全く異なる、「既製品+α」で体験できる非常に現実的な価格設定ですね。
これは、若い世代が「自分だけの一着」を持つ喜びを知るための素晴らしい入り口であり、将来的にジョルジオ・アルマーニのMTM/MTOへとステップアップしてもらうための、重要な「最初の体験」として機能しているのだと私は考えています。
オーダーできる店舗はどこ?
これらのオーダーサービスは、アルマーニのどの店舗でも受けられるわけではありません。特に最上位のMTMは、提供できる店舗が限られています。
主な取り扱い店舗
- ジョルジオ・アルマーニ (MTM / MTO)
全国の主要なジョルジオ・アルマーニ ブティックで提供されています。ただし、MTMサービスは、専門知識を持つ「Made to Measure Specialist」が常駐する、選ばれた基幹店舗(例:銀座タワー店、主要百貨店内のブティックなど)での限定的なサービスです。
訪問前には、お近くの店舗が目的のオーダーサービス(特にMTM)に対応しているか、事前に電話などで確認し、予約するのが確実です。 - エンポリオ・アルマーニ (MTO)
全国のエンポリオ・アルマーニ ブティック(メンズ商品取扱店)で展開されています。ジョルジオ・アルマーニのサービスと比較すると、より広い範囲の店舗でアクセスしやすいようですが、こちらも念のため、訪問前に確認することをお勧めします。
ゼニア生地は選べる?

スーツ好きの方なら、「ゼニア」や「ロロピアーナ」といった名前も気になりますよね。アルマーニのオーダーでは、これらの生地は選べるのでしょうか?
ブランドと生地メーカー(ミル)の関係性
まず理解しておきたいのが、エルメネジルド・ゼニア(Ermenegildo Zegna)やロロピアーナ(Loro Piana)は、スーツブランドであると同時に、世界最高峰の生地を製造・供給する「生地メーカー(ミル)」でもあるという点です。
ゼニアは「アルマーニ」「トムフォード」「キトン」といった、他の多くの最高級ブランドに生地を供給しています。
したがって、「アルマーニかゼニアか」と比べるのではなく、「アルマーニが(仕立てるスーツの生地として)ゼニアの生地を採用することがある」というのが正しい関係性です。
ジョルジオ・アルマーニのオーダーサービスでは、ゼニアやロロピアーナを含む最高級の生地サンプル帳(バンチ)から、好みの生地を選べます。私たちが支払う価格は、その素晴らしい生地代に加えて、その生地をアルマーニ独自の「カッティング、シルエット、ブランドの美学」に昇華させるための「技術料」と「ブランド価値」への対価、ということなんですね。
総括:アルマーニのオーダースーツの値段
ここまで見てきたように、「アルマーニのオーダースーツの値段はいくらか?」という問いへの答えは、「どのサービスを選ぶかによって、約30万円から200万円以上まで、全く異なる」ということになります。
検索して「価格非公開」としか出てこなかったのは、この3つの異なるサービスが「アルマーニのオーダー」という一つの言葉で括られていたからなんですね。あなたが知りたいのは、どのサービスの価格だったでしょうか?
最後に、3つのサービスの違いを一覧表にまとめます。
| 項目 | ジョルジオ・アルマーニ MTM | ジョルジオ・アルマーニ MTO | エンポリオ・アルマーニ MTO |
|---|---|---|---|
| サービス概要 | 究極の体型補正 (ビスポーク) | 迅速なパーソナライズ (カスタム) | 日本限定のセミオーダー (エントリー) |
| 採寸 | あり (最大40箇所) | 不要 (サイズ選択式) | 不要 (シンプルステップ) |
| フィッティング(仮縫い) | あり | なし | なし |
| 納期目安 | 約7~8週間 | 約4~5週間 | 約4~5週間 |
| 推定スタート価格帯 | 150万~200万円以上 | 100万~150万円 | 25万~40万円 |
この記事で、あなたが検討すべき「アルマーニのオーダースーツ」がどれなのか、輪郭が見えてきたなら幸いです。
最終的な価格や詳細は、やはり店舗で専任のスタッフに相談するのが一番です。ご自身の予算感と、スーツに何を求めるのか(フィット感なのか、個性なのか、納期なのか)を明確にして、ぜひ一度、ブティックに足を運んでみてはいかがでしょうか。
アルマーニの公式サイトはこちらです。(アルマーニ|公式サイト)

