お気に入りの服に、丸にバツが描かれたドライクリーニング不可マークがあって、一体どうするべきか困っていませんか?
新しくなった洗濯マークの一覧を見ても、そもそもドライクリーニングとは何なのか、タンブル乾燥とはどう違うのか、記号の意味が直感的に分かりにくいこともありますよね。
ドライクリーニング不可マークは、特に、桶にバツ印がついた洗濯禁止マークと混同しやすく、もし間違えて水洗い不可の衣類を洗ってしまったらどうしよう、と不安になる方もいるでしょう。
また、洗濯マーク一覧でよく見る40や30といった数字が何を示しているのか、正しく理解することも大切です。この記事では、そんな洗濯表示に関するあらゆる疑問を分かりやすく解決します。
- クリーニング不可マークの正しい意味
- 家庭での洗濯が可能かどうかの見分け方
- 洗濯表示を無視してしまった際の具体的な対処法
- 覚えておくと便利な5つの基本マークと付加記号
クリーニング不可マークとは?洗濯表示の基本
- まずは洗濯マーク一覧で記号を確認しよう
- ドライクリーニング不可マークの本当の意味
- 洗濯表示タグは衣類のどこにある?
- そもそもドライクリーニングと水洗いは何が違う?
- タンブル乾燥とは?乾燥機の間違った使い方
- 洗濯禁止マーク:どうする?家庭での対処法
まずは洗濯マーク一覧で記号を確認しよう

衣類を正しくお手入れするためには、まず洗濯表示の基本を理解することが大切です。2016年12月から国際規格に合わせた新しい表示に変わり、記号は「5つの基本記号」と、それを補う「付加記号・数字」で構成されています。
これらの記号を正しく読み解くことで、お気に入りの洋服を傷めることなく、長く愛用できます。まずは、全ての基本となる5つのマークを覚えましょう。

名称 | 意味 |
---|---|
家庭洗濯 | 洗濯おけの形で、家庭用洗濯機や手洗いができるかどうかを示します。 |
漂白 | 三角形の形で、塩素系・酸素系漂白剤が使えるかどうかを示します。 |
乾燥 | 四角形で、タンブル乾燥(乾燥機)と自然乾燥の方法を示します。 |
アイロン仕上げ | アイロンの形で、かけられる温度の上限などを示します。 |
商業クリーニング | 円形で、クリーニング店での処理方法(ドライ・ウェット)を示します。 |
衣類のタグには、基本的にこの5つの記号が左から順番に表示されています。この順番を覚えておくと、タグを見たときに情報を整理しやすくなります。
ドライクリーニング不可マークの本当の意味

本題である「ドライクリーニング不可マーク」は、商業クリーニング記号の一つで、円の中にバツ印(×)が描かれているマークを指します。これを「クリーニング店で一切洗えない」と解釈してしまう方がいますが、それは少し違います。
このマークが意味するのは、あくまで「石油系溶剤などを使用するドライクリーニングができない」ということです。しかし、クリーニング店のプロが行う特殊な水洗いである「ウェットクリーニング」は可能な場合があります。
「ドライクリーニング不可」と「家庭での洗濯不可」は全く別の意味です。
このマークがあるからといって、家庭の洗濯機で水洗いできるわけではありません。必ず家庭洗濯のマーク(おけの形)も併せて確認してください。
例えば、ビーズやスパンコールなどの装飾が付いた衣類や、特殊な加工が施された衣類は、溶剤で装飾が溶けたり剥がれたりするリスクがあるため、ドライクリーニングが禁止されていることが多いです。このような衣類は、専門家が状態を見極めながら慎重に洗う「ウェットクリーニング」の対象となることがあります。
洗濯表示タグは衣類のどこにある?

洗濯表示は、一般的に「品質表示タグ」に他の情報と共に記載されています。いざ洗濯しようと思った時に慌てないよう、普段からタグの場所を確認する癖をつけておくと良いでしょう。
衣類の種類によってタグが付いている場所は異なりますが、主に以下の場所についていることが多いです。
- トップス(シャツ、セーターなど):左脇の内側の縫い目
- ボトムス(パンツ、スカートなど):内側の左腰あたり
- アウター(ジャケット、コートなど):内側の左ポケットの中や、内側の縫い目
- 下着やTシャツ:首元の内側(プリントの場合もあり)

洋服を購入する際に、デザインだけでなく洗濯表示タグもチェックするのがおすすめです!「一目惚れしたけど、お手入れがすごく大変・・・」といった事態を避けられますよ。
古着などを購入した際、前の持ち主がタグを切り取ってしまっているケースもあります。その場合は自己判断で洗うと失敗するリスクが非常に高いため、クリーニング店に持ち込んでプロに素材を判断してもらうのが安全です。
そもそもドライクリーニングと水洗いは何が違う?

洗濯方法を正しく選択するためには、「ドライクリーニング」と「水洗い」の根本的な違いを理解しておく必要があります。
一言で言えば、使用するのが「水」か「水以外の有機溶剤」かという点が最大の違いです。
ドライクリーニングは、水を使わずに石油系の溶剤などで汚れを落とす洗濯方法です。水の代わりに油性の液体で洗うため、油溶性の汚れ(皮脂、ファンデーション、油性インクなど)を落とすのが得意です。また、水による型崩れや縮み、色落ちが起きにくいため、スーツやコート、ウールやシルクといったデリケートな素材の衣類に適しています。
豆知識:PとFのマーク
ドライクリーニングの記号には「P」や「F」というアルファベットが書かれていることがあります。これは使用できる溶剤の種類を示しており、クリーニング店の専門家が見るための記号です。FよりもPのほうが、より強い溶剤を使えるという意味合いになります。
一方、家庭で行う洗濯は基本的に水洗いです。水溶性の汚れ(汗、飲みこぼし、泥など)を落とすのに効果的ですが、デリケートな素材は縮んだり風合いが変わったりするリスクが伴います。
タンブル乾燥とは?乾燥機の間違った使い方

「タンブル乾燥」とは、洗濯物を回転させながら温風を当てて乾かす方法のことです。具体的には、家庭用のドラム式洗濯乾燥機や、コインランドリーのガス乾燥機などがこれにあたります。
天日干しに比べて短時間で乾き、ふんわり仕上がるというメリットがありますが、高温と摩擦によって衣類に大きな負担がかかるというデメリットも存在します。
タンブル乾燥の注意点
タンブル乾燥が禁止されている衣類(四角に丸とバツが描かれたマーク)をタンブル乾燥にかけると、ウールやニットは激しく縮み、熱に弱い化学繊維は変形する可能性があります。また、プリント部分が剥がれたり、生地が傷んで寿命が縮まったりする原因にもなるため、マークは必ず守りましょう。
特にデリケートな衣類や大切な衣類は、タンブル乾燥を避け、自然乾燥の表示に従って干すのが賢明です。
洗濯禁止マーク:どうする?家庭での対処法

「洗濯禁止マーク」は、洗濯おけの記号にバツ印(×)が描かれたマークです。これは「ドライクリーニング不可」とは異なり、「家庭での水洗い(洗濯機・手洗い共に)が一切できない」ことを意味します。
このマークがある衣類は、基本的にクリーニング店にお任せする必要があります。なぜなら、水に濡れること自体が、以下のような深刻なダメージを引き起こす可能性があるからです。
- 生地が極端に縮む、または伸びる(例:レーヨン、キュプラ)
- 風合いが著しく損なわれる(例:シルク、カシミヤ)
- 型崩れが元に戻らなくなる(例:芯地を使ったジャケット)
- 色落ちや色移りが激しく起こる

「手洗いなら大丈夫かも?」と思ってしまいがちですが、このマークがある場合は手洗いもNGです。素材の特性を熟知したプロに任せるのが、衣類を長持ちさせる一番の秘訣です。
このマークと、商業クリーニングのマーク(ドライまたはウェット)を併せて確認し、クリーニング店に適切な方法で依頼しましょう。
クリーニング不可マークがある衣類の対処法
- ドライクリーニング不可:どうする?依頼先は?
- 水洗い不可の衣類を洗ってしまった時の対処
- 洗濯マーク一覧「40」は上限温度の表示
- クリーニング不可マークは専門家への相談が鍵
ドライクリーニング不可:どうする?依頼先は?

前述の通り、「ドライクリーニング不可」マークがある場合でも、諦める必要はありません。この場合の対処法は、プロによる「ウェットクリーニング」が可能かどうかを検討することです。
ウェットクリーニングとは、クリーニング店が特殊な技術と専用の洗剤、仕上げ剤を用いて行うプロの水洗いです。水の量を細かく調整し、衣類へのダメージを最小限に抑えながら、ドライクリーニングでは落ちにくい汗などの水溶性の汚れをしっかり落とします。
依頼の流れ
1. 衣類をクリーニング店に持ち込む。
2. 「ドライクリーニング不可」の表示があることを伝え、ウェットクリーニングが可能か相談する。
3. プロが素材や装飾の状態を確認し、最適な洗浄方法を提案してくれる。
ただし、衣類の素材や状態によってはウェットクリーニングも難しい場合があります。例えば、本革や毛皮、ボンディング加工(生地を接着剤で貼り合わせたもの)が施された衣類などは、特殊クリーニングを専門とする業者への依頼が必要になることもあります。まずは信頼できるクリーニング店に現物を見せて相談してみましょう。
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水洗い不可の衣類を洗ってしまった時の対処

「洗濯禁止」や「ドライクリーニングのみ可」の表示を見落として、誤って家庭で水洗いしてしまった場合、パニックにならず、ダメージを最小限に食い止めるための応急処置が重要です。
衣類が縮んだり型崩れしたりする主な原因は、「濡れること」そのものよりも、「濡れた状態での摩擦」や「急激な乾燥」にあります。
万が一洗ってしまった場合の応急処置
- すぐに洗濯機から取り出す:脱水が始まると強い遠心力で生地が伸びたり傷んだりします。
- 絶対に絞らない:雑巾のように絞ると繊維が傷つき、型崩れが元に戻らなくなります。
- タオルで水分を吸い取る:乾いた大きなバスタオルの上に衣類を広げ、もう一枚のタオルで優しく押さえるようにして水分を吸い取ります。
- 形を整えて平干しする:元の形をイメージしながら優しく形を整え、風通しの良い日陰で平干しします。ハンガーにかけると水の重みで伸びてしまうため、平らな場所で干すのが鉄則です。
絶対にしてはいけないこと
乾燥機(タンブル乾燥)にかけるのは最も危険です。熱によって繊維の収縮が固定されてしまい、完全に元に戻らなくなります。アイロンをかけるのも、完全に乾いてからにしましょう。
ある程度乾いても風合いが元に戻らない場合や、縮みがひどい場合は、修正を専門に行うクリーニング店に相談することをおすすめします。

洗濯マーク一覧「40」は上限温度の表示

家庭洗濯のマーク(おけの形)の中に書かれている「40」や「30」といった数字は、洗濯する際の液温の上限を示しています。例えば「40」と表示されていれば、「40℃以下のお湯または水で洗ってください」という意味になります。
一般的に、水温が高いほど洗浄力は高まりますが、同時に衣類への負担も大きくなります。色落ちや縮み、生地の傷みを防ぐために、この上限温度を守ることが非常に重要です。
また、おけの下にある横線(アンダーバー)は、水流の強さを示しています。

記号 | 水流の強さ | 洗濯機のコース(目安) |
---|---|---|
線なし | 通常の強さで洗える | 標準コース |
線1本 | 弱い水流で洗う | ソフト、手洗い、ドライコース |
線2本 | 非常に弱い水流で洗う | おしゃれ着、デリケート、手洗いコース |
例えば、「40」と書かれ、下に線が1本ある場合は、「40℃以下の水温で、洗濯機の弱水流コース(または手洗い)で洗濯してください」と読み解けます。数字と線の組み合わせで、最適な洗い方を判断しましょう。
クリーニング不可マークは専門家への相談が鍵
- クリーニング不可マークは「ドライクリーニングができない」という意味
- 家庭で水洗いできるという意味ではないので注意が必要
- 対処法はプロによる「ウェットクリーニング」の相談が基本
- 洗濯禁止マークは家庭での洗濯(水洗い)が一切不可のサイン
- 洗濯表示は5つの基本記号で構成される
- 記号は「家庭洗濯」「漂白」「乾燥」「アイロン」「商業クリーニング」の順で並ぶ
- タグは衣類の左脇や首元、ポケットの中などにあることが多い
- ドライクリーニングは油性の汚れに強く型崩れしにくい
- タンブル乾燥は高温で乾かすため縮みや傷みのリスクがある
- 洗濯表示の数字は使用できる水の温度の上限を示す
- 洗濯表示のおけの下の線は水流の弱さを表す
- 線が多いほど優しく洗う必要がある
- 水洗い不可の衣類を洗ってしまったら絞らずタオルドライで平干しする
- 間違って洗った衣類に乾燥機やアイロンを使うのはNG
- 表示が分からない場合は自己判断せずクリーニング店に相談する
