乾燥機は洗濯の手間を大幅に減らしてくれる便利な家電ですが、お気に入りの服が縮むという悩みは尽きません。
なぜ乾燥機で服は縮むのか、具体的にどのような素材が縮むのか、そして縮まない方法はないのか、多くの方が疑問に思っていることでしょう。
この記事では、綿やウールといった縮みやすい素材と、ポリエステルなどの縮みにくい素材の違いを解説します。さらに、低温設定の活用や、コインランドリー利用時の注意点、2回目以降の洗濯で縮みは続くのかといった疑問にもお答えします。
万が一のための乾燥機で縮んだ服を元に戻す方法や、乾燥機縮み戻すためのおすすめの裏ワザまで、あなたの洗濯ライフを快適にする情報を網羅的にご紹介します。
- 乾燥機で服が縮む原因と素材
- 衣類の縮みを未然に防ぐための具体的な方法
- 万が一縮んでしまった衣類を元に戻す裏ワザ
- コインランドリー利用時や2回目以降の注意点
乾燥機で服が縮む原因と素材の知識
- 乾燥機で服が縮むのはなぜ?
- 乾燥機で特に縮むもの
- 縮む素材の見分け方と特徴
- 意外とある?縮まない素材一覧
乾燥機で服が縮むのはなぜ?

乾燥機で衣類が縮んでしまう主な原因は、「熱」と「機械的な圧力」の2つが大きく関係しています。
まず、乾燥機は一般的に60℃から80℃の高温の熱風を衣類に当てて水分を蒸発させます。特に、綿やウールなどの天然繊維は、水分を含んだ状態で熱が加わると、繊維そのものが元の短い状態に戻ろうとする性質があり、これが「収縮」につながります。
次に、乾燥機のドラムが回転することによる機械的な圧力も原因の一つです。衣類はドラム内で叩きつけられたり、他の衣類と絡み合ったりします。この摩擦や圧縮によって、生地の織り目や編み目が詰まってしまいます。この「目詰まり」現象が、結果として衣類全体のサイズを小さくしてしまうのです。特にニット製品のように目が粗い生地は、この影響を受けやすくなります。
縮む2大要因
熱による繊維の収縮と回転による生地の目詰まりが、乾燥機で衣類が縮む主な原因です。
これらの理由から、熱や圧力に弱い素材は乾燥機の使用に特に注意が必要となります。
乾燥機で特に縮むもの

素材だけでなく、衣類の形状や加工方法によっても縮みやすさは変わります。乾燥機に入れる際に特に注意したい衣類の種類をいくつかご紹介します。
ニットや目が粗い素材の衣類
セーターやポロシャツ、Tシャツなどのニット製品(編み物)は、織物と比較して生地の構造に隙間が多いため、乾燥機の回転による圧力で編み目が詰まりやすく、著しく縮むことがあります。特にウール100%のセーターなどは、一度の乾燥で着られなくなるほど縮む可能性があり、注意が必要です。
薄い素材の衣類
ブラウスや薄手のシャツなど、デリケートで薄い生地も縮みや型崩れのリスクが高いです。生地自体が乾燥機の機械的な力に耐えられず、シワになったり、縫い目が引きつれたりすることもあります。
プリントや刺繍がある衣類
Tシャツのラバープリントや特殊な装飾が施された衣類も注意が必要です。プリント部分は熱に弱く、ひび割れたり剥がれたりする危険性があります。また、刺繍部分は糸が収縮し、生地全体が歪んでしまう原因にもなり得ます。
ビーズや装飾品付きの衣類はNG
ビーズやスパンコールなどの装飾が付いた衣類は、熱で変形したり、回転の衝撃で破損したりする可能性が非常に高いです。他の衣類を傷つける原因にもなるため、乾燥機の使用は絶対に避けるべきです。
縮む素材の見分け方と特徴

衣類が乾燥機で縮むかどうかを判断する最も確実な方法は、洗濯表示(取扱い絵表示)を確認することです。2016年12月から国際規格に合わせた新しい表示に変わっており、乾燥機の使用可否が記号で示されています。
四角いマークの中に丸が描かれているものが「タンブル乾燥」の記号です。
- 丸の中に点が2つ:排気温度上限80℃までのタンブル乾燥が可能。
- 丸の中に点が1つ:排気温度上限60℃までの低温タンブル乾燥が可能。
- マーク全体に×印:タンブル乾燥禁止。

衣類を購入する際は、デザインだけでなく洗濯表示もチェックする習慣をつけると、後々のメンテナンスが非常に楽になります。
洗濯表示がない場合や、判断に迷う場合は、素材の特性から縮みやすさをある程度予測できます。一般的に熱や水分、摩擦に弱い天然繊維や一部の化学繊維は縮みやすい傾向にあります。
分類 | 素材名 | 主な特徴と注意点 |
---|---|---|
天然繊維 | 綿 (コットン) | 吸水性が高く縮みやすい代表格。特に新品のTシャツや厚手のスウェットは注意が必要。 |
麻 (リネン) | 水に濡れると硬くなり、乾燥でシワや縮みが生じやすい。独特の風合いが損なわれることも。 | |
毛 (ウール)・絹 (シルク) | 動物性繊維は特に熱と摩擦に弱い。フェルト化して硬く縮むことがあり、元に戻すのは困難。 | |
化学繊維 | レーヨン・キュプラ | 水分を非常に含みやすく、水に濡れると強度が低下する。型崩れや縮みが激しいため乾燥機は厳禁。 |
ナイロン・ポリウレタン | 熱に弱く、高温で溶けたり変形したりする可能性がある。伸縮性が失われることも。 |
これらの素材が含まれている衣類は、原則として乾燥機の使用を避けるのが賢明です。
意外とある?縮まない素材一覧

一方で、乾燥機を使用しても縮みにくい、比較的丈夫な素材も存在します。これらは主に化学繊維で、熱や摩擦への耐性が高い特徴を持っています。
ただし、縮みにくい素材であっても、他の縮みやすい素材と混紡されている場合は注意が必要です。例えば「ポリエステル65%, 綿35%」のシャツは、綿100%のものよりは縮みにくいですが、全く縮まないわけではありません。
素材名 | 主な特徴とメリット |
---|---|
ポリエステル | 縮みやシワに非常に強く、速乾性も高い代表的な素材。スポーツウェアやワイシャツによく使われます。 |
アクリル | ウールに似た風合いを持ちながら、熱には比較的強く縮みにくいです。ただし、毛玉ができやすいデメリットもあります。 |
「防縮加工」もチェック
最近では、綿製品などでも特殊な加工(サンフォライズ加工など)を施すことで、洗濯による縮みを抑えた「防縮加工」済みの衣類も増えています。商品説明のタグなどに記載があるか確認してみるのも良いでしょう。
タオルや下着、部屋着など、多少の縮みが気にならないものであれば、これらの素材を選んで乾燥機を活用するのも一つの手です。日々の家事を効率化するためにも、素材の特性を理解して乾燥機と上手に付き合っていくことが大切です。
乾燥機で服が縮むのを防ぐ|対策と直し方
- 今日からできる!衣類が縮まない方法
- 低温設定で縮みを抑えるコツ
- 乾燥機で縮んだ服を元に戻す方法とは
- 乾燥機での縮みを戻す|トリートメント活用術
- コインランドリーの乾燥機は縮む?
- 服の縮みは2回目以降も続く?
- 縮みにくいおすすめの衣類とは
- 乾燥機で衣類が縮むという悩みを解決するためのポイント
今日からできる!衣類が縮まない方法

大切な衣類を乾燥機の縮みから守るためには、日々のちょっとした工夫が効果的です。完全に防ぐことは難しくても、リスクを大幅に軽減する方法がいくつかあります。
最も基本的で重要なのは、乾燥時間を短くすることです。衣類は完全に乾ききる直前の段階で急激に縮む傾向があります。そのため、乾燥機での運転を20~30分程度の短時間で止め、まだ少し湿り気が残っている「生乾き」の状態で取り出すのがおすすめです。取り出した後は、ハンガーにかけて部屋干しや外干しで自然に乾かします。こうすることで、熱と圧力にさらされる時間を最小限に抑えつつ、乾燥時間全体の短縮にもつながります。
また、乾燥機に衣類を詰め込みすぎないことも大切です。容量の7~8割程度を目安にし、衣類がドラム内で十分に動き回れるスペースを確保しましょう。ぎゅうぎゅう詰めは乾燥ムラを引き起こすだけでなく、衣類同士の摩擦を強め、縮みやシワの原因となります。
縮みを防ぐ2つの基本
- 乾燥は短時間で:生乾きの状態で取り出し、あとは自然乾燥させる。
- 詰め込みすぎない:容量に余裕を持たせ、衣類が動くスペースを確保する。
これらの方法を実践するだけで、衣類へのダメージを大きく減らすことができます。
低温設定で縮みを抑えるコツ

前述の通り、熱は縮みの大きな原因です。お使いの乾燥機に温度設定機能がある場合は、積極的に「低温モード」を活用しましょう。洗濯表示で「低温タンブル乾燥」が推奨されている衣類はもちろん、綿製品など縮みが心配な衣類を乾燥させる際に有効です。
低温設定のメリットは、繊維への熱ダメージを直接的に軽減できる点にあります。高温に比べて乾燥時間は長くなりますが、急激な収縮を防ぎ、衣類を優しく乾かすことができます。
時間は長くなるデメリットも
低温モードは衣類に優しい反面、乾燥にかかる時間が長くなり、電気代やガス代が余計にかかる可能性があります。また、急いで乾かしたい場面では不向きなため、時間と衣類のデリケートさに応じて使い分けましょう。
特に、初めて乾燥機にかける衣類や、少しでも縮ませたくない大切な服には、まず低温設定で試してみることをおすすめします。
乾燥機で縮んだ服を元に戻す方法とは

万が一、乾燥機で衣類が縮んでしまった場合でも、諦めるのはまだ早いかもしれません。素材によっては、ある程度元のサイズに近づける方法が存在します。ただし、完全に元通りになるわけではないため、あくまで応急処置として試してみてください。
最も手軽なのは、再度水分を与えてから形を整える方法です。特に綿素材に効果が期待できます。
- 縮んだ衣類を、霧吹きやアイロンのスチーム機能を使って全体がしっとりするまで湿らせます。
- 衣類を平らな場所に置き、縮んだ方向(主に縦方向)へ優しく、少しずつ引っ張って伸ばします。強く引っ張りすぎると型崩れの原因になるので注意してください。
- 形を整えたら、そのままハンガーにかけるか、平干しネットなどを使って風通しの良い日陰で自然乾燥させます。
この方法は、一度収縮して固まってしまった繊維を、水分でほぐして再形成するイメージです。手間はかかりますが、試してみる価値はあります。
乾燥機での縮みを戻す|トリートメント活用術

特にウール製のニットなどが繊維同士の絡み合いによって縮んでしまった場合に効果が期待できるのが、ヘアトリートメントやコンディショナーを使った裏ワザです。
これは、多くのトリートメントに含まれる「ジメチコン」というシリコン成分が、髪のキューティクルをコーティングするのと同様に、絡まった繊維を滑りやすくしてほぐす効果を利用したものです。
トリートメントを使った戻し方の手順
- 洗面器などにぬるま湯(30℃程度)を張り、ヘアトリートメントを1~2プッシュ溶かします。
- 縮んだニットを裏返して浸し、優しく揉み込むようにして30分~1時間ほどつけ置きします。
- 軽くすすいだ後、洗濯機で1分弱ごく短く脱水するか、タオルドライで水気を取ります。
- 平らな場所で優しく手で伸ばしながら形を整え、必ず平干しで陰干しします。(ハンガー干しは伸びすぎる原因になります)
なぜ「ジメチコン」?
ジメチコンは、繊維の表面を滑らかにコーティングし、摩擦を低減させる働きがあります。これにより、フェルトのように固く絡み合ったウール繊維がほぐれやすくなり、元のサイズに伸ばしやすくなる、という仕組みです。
この方法はウールやカシミヤに特に有効ですが、他の素材では効果が薄い場合もあります。大切な衣類で試す際は、まず目立たない部分で試してから行うと安心です。
コインランドリーの乾燥機は縮む?

「家庭用よりコインランドリーの乾燥機の方が強力だから縮みやすい」という話を耳にしたことがあるかもしれません。これは、あながち間違いではありません。
コインランドリーに設置されているのは、主にガス式の大型乾燥機です。ガス式は電気式に比べてパワーが強く、短時間で高温になるため、家庭用乾燥機以上に縮みやすい環境にあると言えます。短時間で乾かせるメリットは大きいですが、その分、熱に弱いデリケートな衣類は大きなダメージを受けるリスクがあります。
コインランドリー利用時の注意点
コインランドリーの乾燥機は、温度設定を選べる機種も増えています。縮みが心配な衣類を乾かす場合は、必ず「低温」設定を選択しましょう。また、時間をこまめに設定し、完全に乾ききる前に取り出すなど、家庭用以上に慎重な利用が求められます。
特に、初めてコインランドリーの乾燥機を使う際は、絶対に失敗したくない衣類は避け、縮んでも構わないタオルなどから試してみるのが安全です。
服の縮みは2回目以降も続く?

「一度縮んだ服は、もうこれ以上縮まないのでは?」と考える方もいるでしょう。結論から言うと、縮みは最初の数回の洗濯・乾燥で最も大きく起こり、その後は落ち着くのが一般的です。
新品の衣類は、製造工程で繊維が引き伸ばされている状態にあります。それが最初の洗濯と乾燥で水分と熱を得ることで、一気に元の安定した状態に戻ろうとするため、最も大きく収縮します。これを「緩和収縮」と呼びます。
2回目、3回目と乾燥機にかけるうちに縮み幅は徐々に小さくなり、ある程度のところでサイズは安定します。際限なく縮み続けて、最終的に人形の服のようになってしまう、ということはありません。

昔から「Tシャツなどは縮むことを見越してワンサイズ大きめを買う」と言われるのは、この最初の大きな縮みを想定してのことです。最近は防縮加工された製品も多いですが、綿100%の製品などでは今でも有効な考え方です。
ただし、これはあくまで一般的な傾向です。ウール製品のように、乾燥のたびにフェルト化が進んで少しずつ縮み続ける素材もあるため、やはり洗濯表示を守ることが最も重要です。
縮みにくいおすすめの衣類とは

乾燥機を気兼ねなく使いたい、洗濯の手間を極力減らしたい、という方には、初めから乾燥機に対応した衣類を選ぶのが最も確実でストレスのない方法です。
前述の通り、素材で言えばポリエステルやアクリルが縮みにくく、おすすめです。最近のスポーツウェアや機能性インナーの多くはポリエステル100%で作られており、速乾性が高く乾燥機との相性も抜群です。
また、メーカーによっては、綿素材でも独自の技術や製法で乾燥機による型崩れや縮みを抑えた製品を開発・販売しています。下着やTシャツ、パジャマなど、毎日洗って乾燥させたいアイテムは、商品説明で「乾燥機対応」や「タンブラー乾燥OK」と明記されているものを選ぶと良いでしょう。
乾燥機ユーザーにおすすめの衣類
- ポリエステル製のスポーツウェアや速乾Tシャツ
- メーカーが「乾燥機対応」を謳っている下着やパジャマ
- 防縮加工が施された綿製品
日々のライフスタイルに合わせて、乾燥機に強いワードローブを少しずつ揃えていくのも、賢い選択と言えます。
乾燥機で衣類が縮むという悩みを解決するためのポイント
- 乾燥機で衣類が縮む主な原因は熱と圧力
- 綿や麻、ウールなどの天然繊維は特に縮みやすい
- ポリエステルやアクリルは縮みにくい素材の代表格
- 最も確実な見分け方は衣類の洗濯表示を確認すること
- 四角に丸とバツ印のマークはタンブル乾燥禁止のサイン
- 縮みを防ぐ基本は乾燥時間を短くし生乾きで取り出すこと
- 温度設定があるなら低温モードを活用するのが効果的
- 乾燥機に衣類を詰め込みすぎないことも重要
- 縮んだ綿製品は濡らして優しく伸ばすと戻る可能性がある
- ウールニットの縮みにはヘアトリートメントが有効な場合も
- コインランドリーの乾燥機は家庭用より高温で強力な傾向
- 衣類の大きな縮みは最初の数回で起こりその後は安定する
- 乾燥機を頻繁に使うなら乾燥機対応の衣類を選ぶのがおすすめ
- ニットや装飾のある服は乾燥機を避けるのが無難
- 素材の特性を理解して乾燥機と上手に付き合うことが大切