スーツを選ぶ際に多くの人が悩むのが、「無地とストライプ、どっちが良いのか」という問題です。
無地のスーツはダサいと思われないか、逆にかっこいい着こなしとは何か。ビジネスシーンで無地のスーツはどこまで許容されるのか、特に無地の黒を選ぶ際の注意点はあるのか。一方で、織柄の無地やシャドーストライプといった選択肢も気になります。また、ストライプと無地の上下を組み合わせるジャケパンスタイルなど、着こなしの幅は多岐にわたります。
この記事では、そんなスーツの柄に関するあらゆる疑問を解消し、あなたのスーツ選びを徹底的にサポートします。
- 無地とストライプスーツが持つ印象の根本的な違い
- シーンやTPOに応じた最適なスーツ柄の選び方
- 無地でもお洒落に見せるための具体的な着こなし術
- ストライプスーツをビジネスで活用する際の注意点

スーツは無地かストライプどっち?基本を解説
- 無地はダサい?印象を変える着こなし術
- 無地でかっこいいスーツスタイルの作り方
- 織柄なら無地でもさりげなく個性を演出
- 無地派におすすめのシャドーストライプとは
- ストライプ柄の種類と与える印象の違い
無地はダサい?印象を変える着こなし術

結論から言うと、無地のスーツは決してダサくありません。むしろ、着こなし次第で最も洗練された印象を与えることができる、スーツの基本であり王道です。では、なぜ「無地はダサい」あるいは「没個性的」と感じられてしまうことがあるのでしょうか。その理由は主に2つ考えられます。
一つは、サイズ感が合っていないケースです。無地は柄がない分、スーツのシルエットや体のラインがはっきりと表れます。肩幅が合っていなかったり、着丈が長すぎたりすると、途端に野暮ったい印象になってしまいます。これは、リクルートスーツのように「とりあえず着ている」感じに見えてしまう原因の一つです。
もう一つの理由は、Vゾーン(シャツとネクタイの組み合わせ)が単調な場合です。スーツが無地である分、Vゾーンのコーディネートが全体の印象を大きく左右します。いつも同じような白シャツに無地のネクタイでは、確かにお洒落さは演出しにくいでしょう。
印象を変える3つのポイント
- 徹底的にサイズにこだわる:自分の体型にジャストフィットする一着を選びましょう。必要であれば、お直しやオーダースーツも検討する価値があります。
- 上質な素材を選ぶ:ウール100%の生地など、光沢やドレープ感の美しい素材を選ぶだけで、無地スーツは一気に高級感を増します。
- Vゾーンで個性を出す:シャツの色をサックスブルーに変えたり、ネクタイに柄物を取り入れたりすることで、無地スーツの着こなしは無限に広がります。
このように、無地スーツは着る人のセンスが試されるアイテムとも言えます。基本をしっかり押さえることで、「ダサい」という印象を払拭し、逆に「デキる大人」の雰囲気を醸し出すことが可能です。
無地でかっこいいスーツスタイルの作り方

無地のスーツをかっこよく着こなすためには、シンプルだからこそ細部へのこだわりが重要になります。前述の通り、サイズ感と素材選びが土台となりますが、ここではさらに一歩進んだ「スタイルの作り方」に焦点を当てて解説します。
Vゾーンで洗練された印象を
Vゾーンは、相手の視線が最も集まる場所であり、スーツスタイルの心臓部です。無地スーツの魅力を引き出すVゾーンの作り方をマスターしましょう。
色の組み合わせを意識する
基本は、スーツ・シャツ・ネクタイの3色でまとめる「3色以内」のルールです。例えば、ネイビースーツであれば、白やサックスブルーのシャツに、ボルドーやブラウンのネクタイを合わせると、知的で落ち着いた印象になります。チャコールグレーのスーツなら、淡いピンクのシャツにネイビーのネクタイを合わせると、柔らかさと誠実さを両立できます。
柄の組み合わせで奥行きを出す
無地スーツには、柄物のシャツやネクタイが非常によく映えます。ただし、柄同士を組み合わせる場合は注意が必要です。基本は「無地×ストライプ」「無地×小紋柄」「ストライプ×ドット」のように、異なる種類の柄を合わせること。また、柄の大きさ(ピッチ)を変えると、ごちゃごちゃした印象にならず、まとまりやすくなります。
迷ったらコレ!王道の組み合わせ
ネイビースーツ + 白無地シャツ + ネイビー系のレジメンタルタイ
→知的で誠実な印象を与える、ビジネスシーンで失敗のない組み合わせです。
小物使いで差をつける
スーツスタイルは、小物使いで完成度が大きく変わります。特に重要なのが、靴とベルトの色を合わせることです。黒い靴を履くならベルトも黒、ブラウンの靴ならベルトもブラウン系で統一するのが基本中の基本です。これにより、コーディネート全体に統一感が生まれます。
また、ポケットチーフを胸元に挿すだけで、一気に華やかでこなれた印象になります。ビジネスシーンでは、白無地のリネン素材のものを「TVフォールド」という四角い形に畳んで挿すのが最もフォーマルで取り入れやすいでしょう。
織柄なら無地でもさりげなく個性を演出

「無地の安心感は欲しいけれど、少しだけ個性を出したい」という方に最適なのが、織柄(おりがら)のスーツです。織柄とは、色の違いではなく、糸の織り方だけで柄を表現した生地のことを指します。遠目には無地に見えますが、近づくと生地に表情があり、さりげないお洒落さを演出できるのが最大の魅力です。
ビジネスシーンでも使いやすい、代表的な織柄をいくつかご紹介します。
バーズアイ
その名の通り「鳥の目(Bird’s Eye)」のように見える、小さな円が連なった柄です。クラシックで上品な印象を与え、落ち着いた雰囲気を好む方におすすめ。柄の主張が控えめなので、無地と同じ感覚で着こなせます。
シャークスキン
サメの肌(Shark Skin)のように見えることから名付けられた柄で、2色の糸を交互に織り込むことで、奥行きのある独特の光沢感が生まれます。滑らかで上品な風合いがあり、特にグレー系のスーツで人気が高い生地です。
ヘリンボーン
「ニシンの骨(Herringbone)」という意味を持つ、V字形が連続する綾織りの一種です。英国の伝統的な柄として知られ、カントリー調のジャケットなどにもよく使われます。温かみがあり、秋冬のスーツ生地として定番です。

織柄スーツは、無地の着回しやすさと、柄物のデザイン性を両立した非常に便利なアイテムです。光の当たり方で表情が変わるため、無地でありながらものっぺりした印象になりません。無地スーツからのステップアップとして、ぜひ挑戦してみてください。
これらの織柄スーツは、無地と同様にシャツやネクタイのコーディネートを楽しめるのが利点です。柄の主張が控えめなため、ストライプやチェック柄のネクタイとも喧嘩せず、すっきりとまとまります。
無地派におすすめのシャドーストライプとは

織柄の中でも特に人気が高く、無地派の方に最初の一着としておすすめしたいのがシャドーストライプです。これは、光の当たり方や見る角度によって、ストライプ柄が浮かび上がって見える生地のことを指します。
色の違う糸で柄を出すのではなく、織り方の変化だけでストライプを表現しているため、非常にさりげなく、上品な印象を与えます。基本的な位置づけは無地スーツに近いため、フォーマルなビジネスシーンでも問題なく着用できるのが大きなメリットです。
シャドーストライプの3つの魅力
無地のスーツは少し物足りない、かといってハッキリとしたストライプ柄には抵抗がある、という方にまさに最適な選択肢と言えるでしょう。特に、定番であるネイビーやチャコールグレーのシャドーストライプスーツは、一着持っていると非常に重宝します。コーディネートも無地スーツと全く同じ考え方で問題なく、シャツやネクタイを選びません。
ストライプ柄の種類と与える印象の違い

ストライプスーツは、知的でスタイリッシュな印象を与えるビジネスウェアの代表格です。しかし、一口にストライプと言っても、線の太さや間隔によって与える印象は大きく異なります。ここでは、代表的なストライプの種類とそれぞれの特徴を解説します。TPOや相手に与えたい印象に合わせて使い分けることが、お洒落な着こなしへの第一歩です。
ストライプの種類 | 特徴 | 与える印象 | 主な着用シーン |
---|---|---|---|
ピンストライプ | ピンの頭のような小さな点で構成された、非常に細い線。 | 繊細、知的、スタイリッシュ、ドレッシー。 | 一般的なビジネスシーン全般。 |
ペンシルストライプ | 鉛筆で引いたような、輪郭がはっきりした細い線。 | 知的、誠実、力強い。ピンストライプより主張がある。 | 商談やプレゼンテーションなど。 |
チョークストライプ | チョークで線を引いたような、少しぼやけた太い線。 | クラシック、権威、大人の余裕、エレガント。 | 役職者、秋冬のフランネルスーツなど。 |
オルタネートストライプ | 2種類の色や織りの線が交互に配置された柄。 | 華やか、お洒落、個性的。 | パーティー、ファッション業界など。 |
線の幅が太く、間隔が広くなるほど、また地色とのコントラストが強くなるほど、カジュアルで主張の強い印象になります。
初対面の相手との商談や、金融機関などの堅い業界では、太いストライプは避けるのが無難です。
どのストライプを選ぶか迷った場合は、まずビジネスシーンで最も汎用性の高いピンストライプから試してみるのが良いでしょう。
オーダースーツSADA
無地とストライプどっちのスーツを選ぶ?シーン別解説
- 無地スーツはどこまでビジネスで使える?
- 無地で黒のスーツを着る際の注意点
- 就活やフォーマルシーンでのスーツ柄
- ストライプと無地で上下を合わせる着こなし
- スーツは無地とストライプどっち?結論を解説
無地スーツはどこまでビジネスで使える?

無地のスーツは、基本的にあらゆるビジネスシーンで着用可能な、最も汎用性の高いアイテムです。ただし、業界のカルチャーやTPOによっては、色の選び方に配慮が必要です。
業界による違い
金融、保険、公務員、法律関係などの堅い業界
これらの業界では、信頼感や誠実さが何よりも重視されます。そのため、スーツの色はダークネイビーかチャコールグレーの無地が最も好まれます。派手な印象を与えることは避け、堅実なスタイルを心がけるのが基本です。
IT、ベンチャー、広告、アパレルなどの比較的自由な業界
こうした業界では、ある程度の個性やファッション性も許容される傾向にあります。ダークカラーの無地に加え、明るめのミディアムグレーやベージュ、ブラウン系の無地スーツも選択肢に入ります。ただし、重要な商談や初対面のクライアントとの打ち合わせでは、やはりダークカラーの無地が最も安全な選択と言えるでしょう。
役職による使い分けも
若手のうちは、フレッシュで誠実な印象を与えるネイビー無地がおすすめです。一方、管理職などの役職に就いている場合は、落ち着きと威厳を感じさせるチャコールグレーの無地が適しています。
TPOによる使い分け
このように、無地スーツは万能ですが、色合いと業界の慣習を考慮して選ぶことが、円滑なビジネスコミュニケーションに繋がります。
無地で黒のスーツを着る際の注意点

近年、ビジネスシーンでも黒の無地スーツを着用する人が増えていますが、これにはいくつかの注意点があります。本来、黒の無地スーツは冠婚葬祭で着用されるフォーマルウェア(礼服)という位置づけが基本です。そのため、選び方や着こなし方を間違えると、TPOに合わない印象を与えてしまう可能性があります。
ビジネスで黒無地スーツを避けるべき理由
ビジネスで着用する場合のポイント
それでもビジネスで黒無地スーツを着こなしたい場合は、以下の点を意識しましょう。
素材と色合いで差別化する
礼服のようなマットな黒ではなく、少し光沢のある生地や、織柄(シャドーストライプやシャドーチェックなど)が入ったものを選びましょう。また、厳密にはチャコールグレーに近い「限りなく黒に近いダークグレー」を選ぶと、ビジネスシーンに馴染みやすくなります。
Vゾーンで華やかさをプラスする
黒無地スーツに白無地シャツ、黒無地のネクタイを合わせると、完全にお悔やみの場の装いになってしまいます。ビジネスで着用する際は、色や柄の入ったシャツやネクタイを合わせることが必須です。例えば、サックスブルーのシャツや、ボルドー、ブルー系の柄ネクタイを合わせることで、Vゾーンに彩りを加え、ビジネスらしい華やかさを演出しましょう。
就活やフォーマルシーンでのスーツ柄

就職活動や結婚式といったフォーマルな場面では、ビジネスシーン以上に服装のマナーが問われます。ここでは、それぞれのシーンにおけるスーツの柄選びについて解説します。
就職活動(リクルート)
結論として、就職活動では無地のスーツが基本です。ストライプ柄が絶対にNGというわけではありませんが、採用担当者によっては「自己主張が強い」「生意気」といったマイナスの印象を持つ可能性があるため、あえてリスクを冒す必要はありません。
特に新卒の就活では、フレッシュさや真面目さ、清潔感が重視されます。シャドーストライプのような非常に控えめな柄であれば許容される場合もありますが、業界や企業カルチャーが分からないうちは、ダークネイビーか黒の無地スーツを選ぶのが最も安全で無難な選択です。

アパレル業界や一部の外資系企業など、個性が評価される場合もありますが、それは例外と考えるべきです。
まずは、マナーを守った服装で選考に臨むことが大切です。
結婚式・披露宴
結婚式にゲストとして参列する場合、基本的にはダークカラーの無地スーツが最もフォーマルで間違いありません。特に、親族や上司の結婚式、格式の高いホテルや教会での式典では、無地のダークスーツ(ダークネイビーやチャコールグレー)を着用しましょう。
友人や同僚の結婚式、レストランウェディングなど、少しカジュアルな雰囲気の場合は、お祝いの気持ちを表すために、ある程度の華やかさが許容されます。その場合、シャドーストライプや控えめな織柄のスーツは良い選択肢となります。ただし、派手すぎる太いストライプや、コントラストの強い柄は品位に欠けるため避けましょう。
結婚式において、ビジネススーツとしての黒無地スーツはOKですが、礼服としてのブラックスーツと白ネクタイの組み合わせは、親族や主賓クラスの服装とされているため、一般的なゲストは避けるのがマナーです。
ストライプと無地で上下を合わせる着こなし

ストライプのジャケットに無地のスラックス、あるいはその逆の組み合わせは、「ジャケパンスタイル」や「セパレートスタイル」と呼ばれ、スーツとは一味違ったお洒落な着こなしです。ビジネスカジュアルが許容される職場などで活用できますが、コーディネートにはいくつかのポイントがあります。
基本的な組み合わせの考え方
最も簡単で失敗しにくいのは、ネイビーかグレーを軸に組み立てることです。どちらかをジャケットに、もう片方をスラックスに持ってくるのが王道の組み合わせです。
コーディネートの注意点
色のトーンを合わせる
例えば、明るいライトグレーのスラックスに、濃紺のダークネイビージャケットを合わせるなど、上下の色の明るさ(トーン)に差をつけると、メリハリがついてバランス良く見えます。逆に、似たようなトーンで合わせると、ちぐはぐな印象になりがちです。
素材感を意識する
春夏であればコットンやリネン、秋冬であればフランネルやツイードといったように、上下で季節感のある素材を合わせると、よりこなれた印象になります。光沢の強いウールのジャケットに、起毛感のあるコットンスラックスなどを合わせる際は、素材感の違いが大きすぎないか注意が必要です。
この着こなしは、あくまでカジュアルなスタイルです。重要な会議やフォーマルな場には適さないため、TPOをわきまえて取り入れましょう。
スーツは無地とストライプどっち?結論を解説
- スーツの基本は無地であり、最も汎用性が高くシーンを選ばない
- 無地スーツはサイズ感とVゾーンの工夫でかっこよく着こなせる
- 無地が物足りない場合は、織柄やシャドーストライプがおすすめ
- ストライプは知的でスタイリッシュな印象を与えることができる
- ストライプは線の太さや間隔で印象が大きく変わるため注意が必要
- ビジネスでは細身のピンストライプやペンシルストライプが基本
- 太いチョークストライプなどは華やかだが上級者向け
- 信頼感が重要な場面(就活、商談、謝罪)では無地を選ぶのが鉄則
- 金融や公務員など堅い業界ではダークカラーの無地が好まれる
- ITやアパレルなど自由な業界では柄物や明るい色も許容されやすい
- ビジネスシーンでの黒無地スーツは礼服に見えない工夫が必要
- 結婚式では格式に合わせて無地か控えめな柄を選ぶのがマナー
- ストライプと無地の上下を組み合わせるジャケパンスタイルもお洒落
- ジャケパンスタイルはあくまでビジネスカジュアルの位置づけ
- 最終的にはTPOと相手に与えたい印象で無地とストライプを使い分ける
