ポールスミスのスーツって、あのアイコニックなストライプや、ちらりと見える裏地が本当におしゃれですよね。既製品でも十分素敵ですが、「自分だけの一着を」と考えたとき、「ポールスミスでスーツオーダーってできるのかな？」と気になり始める方は多いと思います。
でも、いざポールスミスのスーツオーダーについて調べてみると、「一般的なオーダーメイドとは違う？」「価格はいくら？」「納期はどれくらいかかるの？」「どこの店舗で対応してるの？」「レディースの扱いは？」など、次々と疑問が湧いてきませんか？
私自身、オーダースーツの世界に興味を持ち始めた一人として、ポールスミスが提供するサービスについて詳しく調べてみました。この記事では、ポールスミスのスーツオーダー（MTM）の魅力から、具体的な価格や納期、対応店舗、そして気になる評判まで、皆さんの知りたい情報を分かりやすくまとめています。
- ポールスミスのオーダー（MTM）とビスポークの違い
- オーダーにかかる価格の目安と納期
- 日本国内でオーダーできる店舗
- 選べるモデルや生地、評判やアフターケア
ポールスミスのスーツオーダー「MTM」の詳細
まず、ポールスミスの「スーツオーダー」とは具体的にどのようなサービスなのか、基本情報を詳しく見ていきましょう。
一般的にイメージされる「オーダーメイド」とは少し異なる、ポールスミス独自の「Made to Measure（メイド・トゥ・メジャー）」、通称「MTM」。ポールスミスの「MTM」は、非常に洗練されたサービスなんです。
メイドトゥメジャーとは？
私たちが「ポールスミスでスーツをオーダーしたい」と考えたとき、多くの場合、それは「Made to Measure（メイド・トゥ・メジャー）」、通称「MTM」と呼ばれるサービスを指します。
これは、ゼロから型紙を起こす「フルオーダー（ビスポーク）」とは明確に異なります。では、MTMとは何でしょうか？
MTMは、ポールスミスが長年培ってきたブランドの強みである美しいスーツの「型紙（テーリング・ブロック）」をベースに、専門のテイラーさんが私たちの体型に合わせて細かく採寸・補正してくれるサービスです。
言ってみれば、ブランドが誇る最高のシルエット（例：「Soho」や「Mayfair」モデル）を、自分専用に完璧にチューニングしてくれるイメージですね。既製品（レディメイド）と完全なオーダーメイド（ビスポーク）の中間に位置する、合理的かつ高品質な体験と言えます。
MTMが提供する中核的価値
- 身体との完璧な調和: 専門のテイラーとの協働により、静止時も動作時もクリーンでエレガントなシルエットを実現します。
- カジュアルウェアのような快適性: オーダースーツ特有の堅苦しさがなく、日常的に着慣れた服のように身体に馴染む着心地を目指しています。
- 唯一無二のパーソナライズ: フィット感だけでなく、生地、裏地、ボタン、襟裏のフェルトの色まで、細部にわたるカスタマイズが可能です。
既製品では袖丈や着丈がちょっと…という悩みも解消しつつ、フルビスポークほど敷居が高くない（複雑なプロセスや時間を必要としない）、まさに「良いとこ取り」のサービスです。
ビスポークとの決定的な相違点
「メイドトゥメジャー（MTM）」と「ビスポーク（フルオーダー）」は、どちらも「オーダー」ですが、そのプロセスと本質は全く異なります。私も最初は混同していました。
一番の違いは、スーツの「型紙」をどうするか、という点です。
| 比較項目 | Made to Measure (MTM) | Bespoke (ビスポーク) |
|---|---|---|
| ベース（型紙） | 既存のテーリング・ブロックを使用。 （例: Soho, Mayfairなど） |
ゼロから個別に作成。 顧客との対話に基づき型紙を起こす。 |
| プロセス | 「フィットスーツ」（サンプル）を試着し、テイラーが採寸・調整（ピン打ち）を行う。 | 「仮縫い（first baste）」を含む複数回のフィッティングを経て完成させる。 |
| 自由度 | ブランドが厳選した豊富な選択肢（生地、裏地、ボタン等）の中から選ぶ。 | ポケットの位置なども含め、ほぼ無制限の自由度（complete freedom）。 |
| 提供場所（日本） | 銀座店、大阪店など限定された旗艦店。 | 日本国内での公式な提供情報なし。 （※ポールスミスのビスポークは主にロンドンで提供） |
ポールスミスの場合、この本格的なビスポークサービスは、ロンドンのアルベマールとウェストボーン ハウスの両店舗で提供される特別なものです。（出典：Paul Smith公式サイト「Bespoke Tailoring」）
日本国内で私たちが「オーダー」として利用できるのは、MTMが中心となります。
MTMは、「ポールスミスらしいシルエットが好き」という人が、それを自分史上最高のフィット感で手に入れるための、とても合理的で洗練された方法です。
オーダーの価格と予算感
さて、一番気になるのが「いったい、いくらかかるの？」という価格ですよね。
私が調べた情報（2019年の大阪店サービス開始時）によれば、ポールスミスのMTMは約180,000円（税抜）からとなっているようです。
もちろん、これはあくまで「スタート価格」です。最終的な価格は、選ぶ要素によって大きく変動します。
価格が変動する主な要因
- ファブリック（生地）のグレード: 最も大きく影響する部分です。英国やイタリアの老舗ミル（織物工場）から供給される高級インポート生地や、ポールスミス専用のオリジナル生地など、約100種類の中から選びますが、生地によって価格は上下します。
- アイテムの構成: ベストを追加して3ピーススーツにするか、ジャケット単品か、など。
- オプション: 特殊なボタンやディテールを追加する場合。
ポールスミスの既製品でも、ハイエンドな「Paul Smith Collection」ラインだと13万円前後しますから、そこにプラス4～5万円ほどで「完璧なフィット感」と「自分だけのディテール」が手に入ると考えると、特別な一着としては十分に検討の価値がある価格設定だと感じます。
【ご注意】
ここで紹介した価格は、あくまで私が調査した時点での目安です。生地の価格変動や、近年の経済状況により、現在の価格とは異なる可能性があります。最新の正確な価格や見積もりについては、必ずご利用予定の店舗に直接お問い合わせください。
完成までの納期はどれくらい？
MTMスーツは、オーダーしたらすぐに受け取れるわけではありません。ここも既製品との大きな違いですね。
オーダーから完成までの納期は、目安として1ヶ月～２ヶ月です。
一般的なスーツ店でのお直し（裾上げなど）が1週間程度で終わるのとは根本的に異なります。
MTMは、私たちの体型に合わせて型紙を修正し、多くの場合、英国やイタリアなどの専門工場で一着ずつ丁寧に仕立てられるため、相応の時間が必要になります。
納期に関する注意点
「1ヶ月～２ヶ月」というのはあくまで目安です。工場の稼働状況や、国際輸送の状況によっては、さらに時間がかかる可能性もゼロではありません。
「結婚式までに欲しい」「大事なプレゼンに間に合わせたい」といった具体的な着用日が決まっている場合は、最低でも2ヶ月前、できれば3ヶ月前にはお店に相談に行くなど、余裕を持ったスケジュールを組むことが不可欠です。
オーダー可能な店舗（銀座・大阪）
「じゃあ、近くのポールスミスに行けばオーダーできるの？」と思いきや、実はこのMTMサービス、日本国内では限られた店舗でのみ提供されています。
MTMは、専門知識を持つテイラーとの密なコンサルテーションを必要とする「体験型」サービスです。そのため、ブランドの世界観を表現できる「デスティネーション・ストア（目的地となる店）」で展開されています。
私が調べた限り、現在MTMサービスを明確に提供しているのは、以下の2店舗をはじめとする全国の14店舗です。（参照：Paul Smith公式サイト「Made to Measure」）
MTMサービス提供店舗（日本国内）
- ポール・スミス 銀座店（東京）
- 特徴: 地下1階に専用の「VIPドレッシングエリア」を併設し、エクスクルーシブな環境でサービスが提供されます。
- ポール・スミス 大阪店（大阪・南船場）
- 特徴: 2019年に日本で初めてMTMを導入した店舗。店内奥に専用スペースが設けられ、リラックスできる空間になっています。
【訪問前のご確認を】
上記以外の店舗での取り扱いや、サービスの最新状況、そして訪問時の「予約」の要否については、情報が変わっている可能性もあります。訪問前には必ずポールスミスの公式サイトで最新情報を確認するか、各店舗へ直接お問い合わせいただくことを強くおすすめします。
ポールスミスでスーツオーダーする魅力
基本的な情報がわかったところで、次はポールスミスでスーツをオーダーする「魅力」について深掘りしていきます。
選べるモデルや生地はもちろん、気になるレディースの対応や、購入後のアフターケアについても調べてみました。
選べるスーツの種類とモデル
MTMの魅力は、なんといってもポールスミスのシグネチャーモデル（型）をベースに選べることです。ゼロから作るビスポークとは異なり、「あのポールスミスの格好良さ」を確実に手に入れられる安心感があります。
既製品でも人気の高い、以下のようなベースモデル（テーリング・ブロック）から、自分の好みや体型、利用シーンに合うものを選んでスタートします。
もちろん、スーツ上下（2ピース）だけでなく、ベストを加えた3ピースや、ジャケット単品、トラウザーズ（パンツ）単品、ウエストコート（ベスト）単品でのオーダーにも対応しているそうです。これは嬉しいポイントですね。
生地や裏地で個性を出す
MTMの最大の楽しみ、それは「ディテールを自分好みにカスタマイズできること」ではないでしょうか。
特にポールスミスといえば、あの「ひねりのあるクラシック（Classic with a twist）」の精神ですよね。MTMでは、それを存分に発揮できます。
外観はクラシックなスーツでも、内側に着用者だけのこだわりを込める。これぞポールスミスの真骨頂です。
主なカスタマイズ要素（一例）
- ファブリック（生地）: 英国やイタリアの老舗ミルから供給される高品質なインポート生地から、ポールスミス専用に開発されたオリジナル生地まで。
- ライニング（裏地）: これぞポールスミス。カラフルなものや大胆なパターン（柄）入りのものが豊富に用意されており、「ひねり」を最も象徴する部分です。
- ボタン: ホーン（水牛の角）ボタンに加え、タキシード用のブラックサテンなど。
- ラペル（襟）形状: ノッチドラペルや、オケージョン用のサテン地ピークドラペルなど、シーンに合わせて選択可能。
- 襟裏のフェルトカラー: ジャケットの襟を立てた時にだけ見える、隠れたおしゃれです。
外見はクラシックなネイビースーツでも、ジャケットを脱いだ瞬間に鮮やかなアートワークのような裏地が見える…なんて、想像するだけでワクワクします。
まさに、着用者だけが知る「ひねり」をスーツに込めることができる。これがポールスミスでオーダーする醍醐味だと感じます。
レディーススーツのオーダーは可能？
「ポールスミスでスーツをオーダーしたい」と考えるのは、男性だけではありませんよね。私も「レディーススーツのオーダーはできるの？」と気になって調べてみました。
ポールスミス自体は、既製品（レディメイド）のウィメンズスーツにも非常に力を入れていて、公式サイトにも専用カテゴリがあります。
しかし、こと「Made to Measure（MTM）」サービスに関しては、私が調べた限り、レディース対応についての言及を見つけることができませんでした。
紹介されているベースモデルも「Soho」や「Mayfair」といったメンズの型が中心です。この事実から導き出される結論として、現状、日本国内のMTMサービスはメンズ（男性）向けに特化している可能性が極めて高いと考えられます。
女性の方でポールスミスのスーツをお探しの場合は、まずは豊富な既製品のラインナップをチェックしてみるのが良さそうです。デザインも秀逸ですし、店舗で相談すればお直し（リペア）でフィット感を高めることも可能だと思います。
どうしてもオーダーメイドにこだわりたい場合は、現時点では他ブランドの女性向けMTMサービスを検討する必要があるかもしれません。
MTMの評判とフィット感
実際にオーダーした人の評判も気になりますよね。MTMサービスに限定した口コミは多くありませんが、ポールスミスのスーツ自体の評価を調べてみました。
購入者のコメントを見ると、やはり「デザインの色合いが絶妙」「シルエットが綺麗」「裏地がおしゃれ」といった、ポールスミスならではのスタイルへの満足度が非常に高いようです。
特に興味深かったのは「フィット感」に関する評判です。あるレビューでは、「日本のブランドのスーツより、ポールスミスの既製品の方が（腕が長いなど）自分の体型に合った」という声がありました。
これは、ポールスミスのスーツが元々、国際的な（西洋人向けの）体型をベースに作られていることを示しているかもしれません。
MTMが解決する「フィット感」
だからこそ、MTMサービスが活きてきます。
- 「ポールスミスのデザインは大好きだけど、既製品だとどうも体型に合わない…」
- 「既製品のままでもフィットするけど、もっと完璧を目指したい」
こうしたニーズを持つ人にとって、MTMは、そのデザインを自分の身体に完璧に最適化できる、まさに「待ってました！」と言えるサービスなんですね。ポールスミスならではのフィット感を、個々の体型にアジャストできる点こそ、MTMの最大のメリットと言えます。
購入後の修理やアフターケア
高価なオーダースーツですから、一度作ったら終わりではなく、大切に長く愛用したいですよね。
その点、ポールスミスでは「Repair, Restore, Refresh（修理、修復、リフレッシュ）」というアフターケアサービスを国内店舗で提供しているそうです。
MTMで作った大切なスーツも、長年着用すれば生地が擦れたり、ほつれが出たり、体型の変化で微調整が必要になることもあるかと思います。そんな時、ブランドの正規サービスでしっかりとメンテナンスしてもらえるのは、非常に心強いです。
【製品の長寿命化への取り組み】
ポールスミスは、購入したアイテムがシーズンを超えて長く愛用されることを目指し、製品の長寿命化にコミットしています。英国などでは専門の修理プロバイダーと提携したオンライン修理サービスも展開しており、こうしたアフターケアへの意識が高いブランドであることも、高価なスーツをオーダーする上での安心材料になりますね。
（※日本国内での具体的な修理内容や費用については、スーツの状態によって異なるはずですので、購入した店舗や最寄りの店舗にご相談ください）
お気に入りの一着を長く着続ける。そういった「カプセルワードローブ」の考え方をブランドがサポートしてくれているのは、私たち消費者にとっても嬉しいことですね。
まとめ：ポールスミスでスーツをオーダーする価値
ここまで、ポールスミスのスーツオーダーについて詳しく見てきました。
最後に、「ポールスミスでスーツオーダーする価値」について、私なりにまとめてみたいと思います。
MTMの本質＝「最適化」と「個性」
ポールスミスのMTMの価値は、「ゼロから自由に作る」ことよりも、「ポールスミスが完成させた最高のシグネチャー・シルエット（Sohoなど）を、自分の体型に完璧に最適化する」ことにあると感じました。
そして、そこに「裏地」や「ボタン」「襟裏のフェルト」といったディテールで、自分だけの「ひねり（Twist）」を加えられること。
これこそが、他のオーダースーツにはない、ポールスミスならではの最大の魅力ではないでしょうか。
「自分らしさを大切にしたい」「どうせ着るなら、完璧にフィットしたお気に入りの一着が欲しい」「ビジネスシーンでも、さりげなく個性を表現したい」
そう考える人にとって、ポールスミスのスーツオーダー（MTM）は、価格以上の満足感と、袖を通すたびに高揚感を味わえる、特別な体験になるはずです。
