アクリルのニットやセーターを買おうとして、「アクリルは毛玉ができやすい素材なの?」「せっかく買っても、すぐ毛玉だらけにならない?」と気になったことはないでしょうか。
アクリルは、軽くて暖かく、ウールのようなふんわりした風合いを出しやすい素材です。冬物のニットやカーディガン、マフラーなどでもよく見かけます。
一方で、毛玉については少し注意が必要です。一般的なアクリル製品は、摩擦によって表面が毛羽立つと、その毛羽が絡んで毛玉になることがあります。
ただし、「アクリルなら必ず毛玉ができる」「アクリル100%だから毛玉がひどい」と素材表示だけで判断するのも正確ではありません。
毛玉のできやすさには、素材だけでなく、糸の作り方、編み方、生地表面の毛羽立ち、ほかの素材との組み合わせ、毛玉を抑える加工、着用時や洗濯時の摩擦など、さまざまな条件が関係します。
実際にアクリル繊維には、毛玉ができにくくなるよう工夫されたタイプもあります。そのため、毛玉をできるだけ避けたい場合は、「アクリルかどうか」だけではなく、衣類そのものの作りまで確認することが大切です。
この記事では、アクリルに毛玉ができる理由から、アクリル100%やポリエステル、ナイロン、コットンとの違い、毛玉ができにくい服を選ぶポイント、着用後のお手入れまで詳しく解説します。
「毛玉の処理をできるだけ減らしたい」「通販で素材表示を見ても、何を選べばいいのかわからない」という方は、服選びの判断材料として参考にしてください。
- アクリルは一律に「毛玉ができにくい素材」とはいえない
- 毛玉のできやすさは素材だけでなく、糸・編み方・混紡・加工にも左右される
- アクリルにも毛玉を生じにくくしたタイプがある
- 購入時は素材表示だけでなく、生地表面や編み方も確認する
- 着用・洗濯時の摩擦を減らすことが毛玉予防の基本
アクリルは毛玉ができにくい?まず知っておきたい基本
アクリルについて「毛玉ができにくいか、できやすいか」の二択で答えるなら、一般的なアクリル製品は、毛玉に注意したい(毛玉ができやすい)素材の一つです。

ただし、ここで重要なのは「アクリルという素材名だけで毛玉のできやすさが決まるわけではない」という点です。
同じアクリル100%でも、ふわふわと毛羽の多いローゲージニットと、細かく密に編まれた表面の滑らかなニットでは、摩擦を受けたときの状態が異なります。
そのため、「アクリル100%だから買わない」と決めるより、毛玉ができる仕組みを知ったうえで、生地や加工まで確認する方が失敗を減らせます。
そもそも毛玉はなぜできる?
衣類にできる毛玉は「ピル」とも呼ばれ、毛玉が発生した状態を「ピリング」といいます。
毛玉は、着用や洗濯などで生地がこすれ、繊維の一部が表面に毛羽として出てくるところから始まります。その毛羽同士がさらに摩擦を受け、絡まりながら小さな球状になると、目に見える毛玉になります。

つまり、毛玉を考えるうえで重要なのは、単純な「素材の丈夫さ」だけではありません。
- 表面に毛羽が出やすいか
- 出てきた毛羽が絡まりやすいか
- 毛玉になった繊維が切れて自然に落ちるか
- 強い繊維によって毛玉が生地に残り続けるか
- 着用や洗濯でどの程度の摩擦を受けるか
こうした条件が重なって、実際の毛玉のできやすさが決まります。
特にニットのように表面に毛羽が出やすい衣類は、袖の内側や脇、腰回りなどが繰り返しこすれるため、毛玉が目立ちやすくなります。
毛玉ができやすい素材ランキングだけで判断しない
毛玉について調べると、「毛玉ができやすい素材ランキング」を見かけることがあります。
アクリルやポリエステルなどの合成繊維が上位に挙げられることはありますが、すべての衣類にそのまま当てはめられる絶対的なランキングではありません。
同じ素材でも、短い繊維を紡いだ糸なのか、長い繊維を使った糸なのか、糸がしっかり撚られているか、ふんわり甘く撚られているか、生地が密か、起毛しているかなどによって違いが生まれます。
その前提で、代表的な素材の傾向を整理すると次のように考えられます。
| 素材 | 毛玉を見るときのポイント |
|---|---|
| アクリル | ニットなど毛羽のある製品では毛玉に注意。抗ピルタイプなど毛玉を抑えた製品もある |
| ポリエステル | 繊維が強いため、一度毛玉になると生地から脱落しにくい場合がある |
| ウール | 柔らかい製品は毛羽立ちやすい。天然繊維のため成長した毛玉が脱落する場合もある |
| カシミヤ・アンゴラなど | 柔らかな風合いが魅力だが、摩擦による毛羽立ちには注意が必要 |
| ナイロン | 素材名だけでは判断しにくい。生地構造や混紡されている繊維によって変わる |
| コットン | 毛羽立つことはあるが、合成繊維の毛玉とは残り方が異なる場合がある |

「アクリルだから1位」「ナイロンだから5位」と固定的に考えるより、素材+糸+生地+加工+使い方の組み合わせで判断するのが現実的です。
アクリル100%の服は毛玉ができやすい?
アクリル100%のニットでは毛玉が発生することがよくあります。特に、ふんわりと柔らかく、表面に毛羽が多いセーターやカーディガンでは注意が必要です。
着用中に袖と脇腹がこすれたり、バッグのストラップが肩に当たったりすると、表面から繊維が少しずつ毛羽立ちます。その毛羽が絡み合えば毛玉になります。
ただし、「アクリル100%だから毛玉がひどい」とは限りません。
たとえば、毛玉を抑える加工が施されたアクリル繊維を使った製品や、毛羽の少ない糸、密度の高い編み方などを採用している製品では、一般的なふわふわしたアクリルニットとは毛玉のでき方が異なることがあります。
反対に、アクリル100%ではない場合でも、毛羽立ちやすい素材との組み合わせで、できた毛玉が残りやすくなるケースがあります。
品質表示に「アクリル100%」と書かれていたときは、それだけで判断せず、生地表面がすでに毛羽立っていないか、ざっくりした編み方ではないか、毛玉を抑える加工について説明がないかも確認してみてください。
毛玉ができにくいアクリルはある?抗ピル・アンチピリングにも注目
「アクリルは暖かくて扱いやすいから着たい。でも毛玉はなるべく避けたい」という方も多いでしょう。
その場合に覚えておきたいのが、抗ピル、アンチピリング、毛玉になりにくい加工などの表示です。
アクリルには、通常タイプだけでなく、毛玉を生じにくくするために改質されたタイプもあります。
もちろん、「抗ピル」と表示されていれば絶対に毛玉ができないわけではありません。衣類同士がこすれたり、バッグが長時間当たったり、洗濯で強い摩擦を受けたりすれば、表面に変化が起こる可能性はあります。
それでも、毛玉の少なさを重視してアクリル製品を選びたい場合には、素材割合だけを見るより有力な判断材料になります。
- 「抗ピル」「アンチピリング」などの表示がある
- 表面が滑らかで、購入時から毛羽が目立たない
- ざっくりした編み地より、細かく密な編み地
- 起毛感の強いものより、毛羽の少ないもの
- 使用上の注意にピリングについての記載がないか確認する
通販では生地に直接触れられないため、素材表示だけでなく、商品説明や生地の拡大写真まで確認すると判断しやすくなります。
ナイロンなら毛玉ができにくいとは限らない

毛玉のできにくい素材として、ナイロンが挙げられることがあります。ナイロンについて「表面が滑らかだから毛玉ができにくい」と説明されることがありますが、これも素材名だけで決めることはできません。
長い繊維を使い、表面が滑らかに仕上げられたナイロン生地であれば、毛羽が表面に出にくく、毛玉が目立ちにくい場合があります。
一方で、毛羽のある糸を使ったニットや、ウール・レーヨンなど別の素材との混紡では、摩擦によって毛玉が発生することがあります。
ナイロンは丈夫さを生かして混紡素材にもよく使われるため、「ナイロンが入っている=毛玉ができない」と考えるより、組み合わされている素材まで確認しましょう。
レーヨンとナイロンを組み合わせた衣類については、素材割合や洗濯時の注意点をレーヨンとナイロンの混紡は毛玉ができる?正しい洗濯方法と選び方で詳しく解説しています。
アクリルとポリエステル、毛玉ができやすいのはどっち?

アクリルとポリエステルを比べて、「結局どちらを選べば毛玉が少ないの?」と迷う方もいるでしょう。
ここも、素材名だけで一律に「アクリルの方ができやすい」「ポリエステルなら安心」と決めない方がよい部分です。
アクリルはウールのようなふっくらした風合いを出すため、ニットでは表面に毛羽のある製品が多く見られます。その毛羽が摩擦で絡むと毛玉につながります。
一方、ポリエステルは非常に強い繊維です。表面から出た繊維が毛玉になった場合、強度があることで簡単には切れず、毛玉が生地表面に残り続けることがあります。
つまり、毛羽立ちやすいアクリルニットでは毛玉の「発生」が気になりやすく、短繊維のポリエステル製品などでは、できた毛玉が「残り続ける」ことが問題になる場合があります。
購入するときは素材名だけで比較するのではなく、実際の生地表面を確認してください。毛羽の多いニットなのか、表面が滑らかな生地なのかによって、選び方は変わります。
毛玉ができにくいアクリル製品を選ぶ5つのポイント
毛玉を取る作業そのものを減らしたい場合は、お手入れだけでなく、購入するときの選び方が重要です。
アクリルの暖かさや軽さを生かしながら、なるべく毛玉の少ない衣類を選びたい場合は、次のポイントを確認してみてください。
1.「抗ピル」「アンチピリング」などの表示を確認する
毛玉が気になる人にとって、最初に確認したいのが毛玉を抑える加工や繊維についての表示です。
商品説明に「抗ピル」「アンチピリング」「毛玉になりにくい」などの記載があれば、一般的なアクリル製品と比較するときの材料になります。
ただし、表示があっても摩擦そのものがなくなるわけではありません。「毛玉が絶対にできない」という意味ではない点には注意してください。
2.表面の毛羽立ちが少ないものを選ぶ
新品の段階からふわふわと長い毛羽がたくさん出ているニットは、柔らかく暖かそうに見える一方、着用時の摩擦を受けやすい形状でもあります。
毛玉の少なさを優先するなら、表面が比較的滑らかで、毛羽が目立ちすぎないものを候補にしてみてください。
店舗で購入する場合は、袖や脇付近の表面を目で確認するだけでも違いがわかります。強くこすって確認すると生地を傷める可能性があるため、無理に摩擦を加える必要はありません。
3.編み目の密度が密なものを選ぶ
ニットは編み方によっても表面の状態が変わります。
太い糸を使ったざっくりしたニットは、柔らかさや立体感を楽しめる反面、糸同士やほかの物との接触が増えやすくなります。
一方、細い糸で比較的密に編まれたハイゲージニットなどは、表面が滑らかに見える製品が多くあります。
もちろん編み目だけで毛玉の有無を断定することはできませんが、「素材表示が同じなら、より表面の毛羽が少ないものを比較してみる」という見方は役立ちます。
4.混紡素材は組み合わせまで確認する
「アクリル70%・ポリエステル30%」「アクリル50%・ウール50%」など、複数の繊維が使われている衣類も珍しくありません。
混紡には、それぞれの素材の長所を組み合わせられるメリットがあります。しかし、強度や毛羽立ち方が異なる繊維を組み合わせることで、毛玉のでき方が変わることもあります。
「アクリルの割合が何%なら安全」という単純な基準ではなく、どの素材と組み合わされているのかまで見ることが大切です。
5.着用シーンまで考えて選ぶ
毛玉は摩擦によって発生するため、同じ服でも着方によって差が出ます。
たとえば、リュックを毎日背負う人なら背中や肩、ショルダーバッグを使う人なら肩から腰にかけて摩擦が集中します。
デスクワークでは、机や椅子に触れる袖口や肘周辺がこすれやすくなります。
毎日ハードに着る服であれば、見た目のふわふわ感だけでなく、表面が比較的滑らかで摩擦を受けにくそうな生地を選ぶ方が、お手入れの負担を減らしやすいでしょう。
アクリルに毛玉をできにくくする方法
すでに持っているアクリル製品でも、着方や洗い方を少し意識することで、毛玉につながる摩擦を減らせます。
特別なお手入れを毎日続けるというよりも、「こすらない」「洗濯時に暴れさせない」「毛羽立ちを放置しない」の3点を意識する方が続けやすいでしょう。
- 同じ服を連日着用しない
- バッグや上着との摩擦を減らす
- 洗濯表示を確認してから洗う
- 洗濯できる場合は裏返してネットに入れる
- 強い摩擦が起きる洗い方を避ける
- 毛玉が小さいうちに適切な方法で取り除く
同じニットを毎日続けて着ない
毛玉対策というと洗濯方法ばかりに目が向きますが、着用中の摩擦も毛玉の大きな原因です。
お気に入りのニットだからと毎日続けて着ると、脇、袖口、肘、腰回りなど同じ場所に繰り返し摩擦が加わり毛玉が発生します。
可能であれば何着かをローテーションし、一着だけに摩擦が集中しないようにするとよいでしょう。
バッグ・アウター・椅子との摩擦にも注意する
毛玉ができるのは洗濯のときだけではありません。
ショルダーバッグのベルト、リュック、シートベルト、コートの内側、椅子の背もたれなど、日常生活には服がこすれる場所がたくさんあります。
特定の場所だけ毛玉が集中している場合は、素材そのものより、普段の動作や持ち物との摩擦が影響している可能性があります。
いつも同じ肩にバッグを掛けているなら左右を替える、表面の粗いバッグをニットに直接当て続けないなど、小さな工夫でも摩擦を分散できます。
洗濯前は必ず洗濯表示を確認する
アクリルだからといって、すべて同じ方法で洗えるわけではありません。
アクリル100%の衣類と、ウールなどが混ざった衣類では、適した洗い方が異なります。また、編み方や装飾などによって家庭での水洗いに向かない製品もあります。
まず衣類についている洗濯表示を確認し、その表示に従ってください。
家庭で洗濯できる衣類であれば、裏返して洗濯ネットに入れることで、ほかの衣類との直接的な摩擦を減らしやすくなります。

洗濯機では、衣類同士が強くこすれ続ける洗い方より、衣類に合った弱い水流のコースを選ぶ方が生地への負担を減らせます。使用する洗剤についても、衣類の洗濯表示と洗剤の使用方法を確認してください。
乾燥機は洗濯表示を確認してから使う
乾燥機では衣類が回転しながらほかの衣類と接触するため、摩擦が加わります。
ただし、「アクリルだから乾燥機はすべて禁止」と一律に判断するのではなく、衣類についているタンブル乾燥の表示を確認してください。
タンブル乾燥禁止の衣類は乾燥機に入れず、表示に合った方法で乾燥させます。毛玉だけでなく、型崩れや生地へのダメージを防ぐためにも大切です。
洗濯表示の詳細については、消費者庁「新しい洗濯表示」を確認しましょう。
着用後は毛羽立ちや毛玉を早めに確認する
大きな毛玉になるまで放置すると、処理するときに取る繊維の量も増えます。
着用後に脇や袖口を確認し、小さな毛玉ができ始めていないかチェックしておくと、早い段階で対応できます。
洋服ブラシを使える素材であれば、衣類の表面を無理にこすらず、毛並みを整える程度にやさしくブラッシングする方法もあります。
ブラシなら何でもよいわけではないため、対象となる素材を確認し、目立たない場所から試してください。

アクリルやナイロン製品の毛玉の取り方
どれだけ毛玉を予防していても、衣類を着ている以上、毛玉を完全に防げるとは限りません。
毛玉を見つけたときに大切なのは、手で引っ張ってむしり取らないことです。
毛玉を引っ張ると、生地につながっている繊維まで引き出してしまい、新しい毛羽立ちや生地の傷みにつながる可能性があります。
毛玉の大きさやできている範囲に合わせて、毛玉取り器やハサミ、衣類用ブラシなどを使い分けましょう。
電動毛玉取り器を使う
広い範囲に細かな毛玉ができている場合は、衣類用の電動毛玉取り器が使いやすい方法の一つです。
一つずつハサミで切るより短時間で処理しやすいため、ニット全体に毛玉が広がってしまったときにも便利です。
ただし、衣類を着たまま使用するのは避けましょう。平らで安定した場所に衣類を置き、生地を整えてから、毛玉取り器を軽く滑らせるように使います。
強く押し付ければきれいになるわけではありません。薄い生地、縫い目、ボタンやファスナーの周囲、ほつれた部分では、生地を巻き込まないよう特に注意が必要です。
初めて毛玉取り器を使う衣類では、目立たない部分で試してから全体を処理すると安心です。
小さな毛玉はハサミでカットする
毛玉が数個だけできている場合は、小さなハサミで一つずつ切る方法もあります。
毛玉を強く持ち上げて引っ張るのではなく、生地本体を切らないよう注意しながら、毛玉部分だけを少しずつカットしてください。
特に薄手のニットでは、刃先を生地に深く入れないことが重要です。数個程度の毛玉であれば、電動毛玉取り器を広範囲に当てるより、必要な部分だけ処理できる場合があります。
T字カミソリは生地を傷つける可能性がある
T字カミソリで毛玉をそぎ落とす方法を見かけることもありますが、生地そのものを切ったり、必要な毛羽まで削ったりする可能性があります。
特に柔らかなニット、薄手の生地、凹凸のある編み地には注意が必要です。
衣類を長く着たい場合は、毛玉取り器や小さなハサミなど、毛玉部分を狙って処理しやすい方法を優先するとよいでしょう。
毛玉取りブラシは衣類との相性を確認して使う
電動毛玉取り器で毛玉そのものをカットする方法だけでなく、衣類用ブラシや毛玉取りブラシを使って表面を整える方法もあります。
ブラシは、表面の毛並みを整えたり、ほこりを落としたりするときにも使えるため、日常的な衣類のお手入れに取り入れやすい道具です。
ただし、ブラシ自体も生地との間に摩擦を生みます。力を入れて何度も往復させるのではなく、その衣類に使用できるブラシか確認したうえで、やさしく一定方向へ動かしてください。
アクリルニットなどに初めて使う場合は、目立たない部分で試し、生地の毛羽立ちが強くならないことを確認してから使うと安心です。
特に毛玉を確認したい部分
アクリルニットでは、袖口、脇、肘、腰回りなど、日常動作で摩擦が繰り返される部分から毛玉が目立ちやすくなります。
バッグを使う人は肩や腰、リュックを使う人は肩から背中にかけても確認しておきましょう。
服全体を毎回細かくチェックする必要はありません。いつも毛玉ができる場所を把握し、その部分を中心に見るだけでも早めに気づきやすくなります。
アクリル以外で毛玉ができにくい素材を選ぶときの考え方
「とにかく毛玉のお手入れを減らしたい」という場合は、アクリルだけでなく、ほかの素材も比較したくなるかもしれません。
ただし、ここでも「綿なら絶対に毛玉ができない」「ポリエステル100%なら安心」という単純な選び方はおすすめできません。
毛玉のできやすさは、繊維の種類に加えて、生地表面の状態や糸の構造を見ることが大切です。
コットンでも毛玉ができることはある

コットンは天然繊維で、Tシャツやスウェット、ニットなど幅広い衣類に使われています。
「天然繊維だから毛玉ができない」と思われがちですが、コットンでも摩擦によって表面が毛羽立つことがあります。
短い繊維を撚り合わせた糸では、着用や洗濯によって少しずつ繊維の端が表面に出る場合があります。それらが絡めば、小さな毛玉のように見えることもあります。
一方、合成繊維に比べると、毛玉になった繊維が摩耗によって脱落することも多いです。そのため、アクリルやポリエステルのように毛玉が長く残り続ける状態とは見え方が異なる場合があります。
さらに、コットン100%なのか、ポリエステルとの混紡なのかでも毛玉の状態は変わります。
ポリエステル65%・綿35%のような混紡素材について詳しく知りたい場合は、ポリエステル65%・綿35%は毛玉ができやすい?原因と正しい洗濯方法も参考にしてください。
ポリエステル100%なら毛玉ができない?

ポリエステル100%でも、毛玉ができることはあります。
ここで見るべきポイントは、「ポリエステル100%という割合」だけではありません。
たとえば、長い繊維を使い、表面が滑らかに作られたポリエステル生地は、そもそも毛羽が表面に出にくい場合があります。
反対に、短い繊維を紡いだ毛羽のあるポリエステル生地では、摩擦で毛羽が絡み、毛玉になることがあります。
ポリエステルは繊維そのものの強度が高いため、いったん毛玉ができると、毛玉につながった繊維が切れにくく、生地表面に残りやすいという特徴にも注意が必要です。
そのため、「ポリエステル100%=毛玉ができにくい」と考えるのではなく、ポリエステルでも表面が毛羽立った生地には毛玉ができると覚えておく方がわかりやすいでしょう。
混紡素材は「割合だけ」で毛玉を判断しない
衣類の品質表示を見ると、「ポリエステル○%・レーヨン○%」「レーヨン○%・ナイロン○%」といった混紡素材をよく見かけます。
異なる素材を組み合わせることで、肌触り、強度、乾きやすさ、しわになりにくさなど、単独素材にはない特徴を持たせることができます。
一方で、毛羽立ちやすさや繊維の強度が異なる素材を組み合わせると、一方から出た毛羽を強い繊維がつなぎ止め、毛玉が残りやすくなる場合もあります。
レーヨンとポリエステルの組み合わせについては、レーヨン・ポリエステル混紡は毛玉ができやすい?特徴とおすすめケア方法で詳しく紹介しています。
混紡率の数字だけを見て「50%以下なら大丈夫」と線を引くより、その衣類がニットなのか織物なのか、表面が毛羽立っているのか、どのような場面で着るのかまで考えた方が失敗を減らせます。
アクリルの毛玉についてよくある疑問
Q1:アクリル100%なら必ず毛玉ができますか?
必ずできるとは限りません。
アクリル100%でも、毛玉を抑えたタイプの繊維、生地表面の毛羽が少ないもの、密に編まれたものなどでは、毛玉の発生が目立ちにくい場合があります。
反対に、ふんわりして毛羽の多いニットを摩擦の多い環境で頻繁に着用すれば、毛玉が目立ちやすくなります。
Q2:アクリルとポリエステルならどちらが毛玉に強いですか?
素材名だけで一律には判断できません。
アクリルニットでは表面の毛羽が絡んで毛玉が発生することがあり、ポリエステルでは繊維の強さによって、できた毛玉が生地に残りやすい場合があります。
同じ素材でも、表面が滑らかなものと毛羽の多いものでは状態が大きく異なります。購入時には素材割合と生地の両方を確認してください。
Q3:毛玉ができにくいアクリルを見分ける方法はありますか?
まず商品説明で「抗ピル」「アンチピリング」「毛玉になりにくい」などの表示があるか確認してみてください。
さらに、表面の毛羽が少ないか、編み目が比較的密か、購入時点ですでに繊維が飛び出していないかを見ると判断材料が増えます。
ただし、どの加工でも摩擦そのものを完全になくすことはできません。毛玉ができにくい表示は、「絶対に毛玉ができない」という保証とは分けて考えましょう。
Q4:毛玉を予防するなら柔軟剤を使った方がいいですか?
柔軟剤によって繊維表面の摩擦や静電気を抑える効果が期待できる場合がありますが、すべての衣類に必須というわけではありません。
衣類によっては、素材や機能性との関係で柔軟剤の使用が適さない場合もあります。衣類の洗濯表示と、使用する柔軟剤の表示を確認してから使ってください。
毛玉対策では、柔軟剤だけに頼るより、裏返してネットに入れる、適切な洗濯コースを選ぶ、詰め込みすぎを避けるなど、摩擦を減らすことを優先するとよいでしょう。
Q5:毛玉ができたらすぐ取った方がいいですか?
小さいうちに適切な方法で処理すると、見た目を整えやすくなります。
ただし、頻繁に毛玉取り器を強く当てると、そのたびに生地表面の繊維を切ることになります。毛玉が気になるたびに何度も削るのではなく、衣類を傷めない程度に必要な箇所だけ処理してください。
まず毛玉が集中している原因を確認し、バッグの持ち方や連日の着用など、同じ摩擦を繰り返さないようにすることも大切です。
まとめ:アクリルでも毛玉ができにくい服は選べる。素材表示だけで決めないことが大切
アクリルは軽くて暖かく、冬の衣類に使いやすい素材ですが、一般的なニットでは摩擦によって毛玉が発生することがあります。
そのため、「アクリルは毛玉ができにくい素材です」と単純に考えるのはおすすめできません。
一方で、アクリルだから必ず毛玉がひどくなるわけでもありません。毛玉を生じにくくしたタイプのアクリル繊維もあり、生地の作りや編み方によっても差が生まれます。
- アクリルは毛玉に注意したい素材の一つ
- 毛玉は着用や洗濯時の摩擦で毛羽が絡み合って発生する
- 「アクリル100%」という表示だけでは毛玉のできやすさを断定できない
- 抗ピル・アンチピリングタイプのアクリルもある
- 表面の毛羽が少なく、比較的密に編まれたものも選択肢になる
- ポリエステル100%でも毛玉ができる場合がある
- ポリエステルは強い繊維のため、できた毛玉が残りやすい場合がある
- ナイロンも素材名だけで「毛玉ができにくい」とは判断できない
- コットンでも摩擦によって毛羽立つことがある
- 混紡素材は割合だけでなく、組み合わせる繊維にも注目する
- 袖口、脇、肩、腰など、摩擦の多い場所は毛玉を確認する
- 同じニットを毎日着続けず、摩擦を分散する
- 洗濯するときは、まず衣類の洗濯表示を確認する
- 家庭で洗える衣類は、裏返してネットに入れると摩擦を減らしやすい
- 毛玉は手で引っ張らず、毛玉取り器や小さなハサミなどで丁寧に処理する

これからアクリルのニットやカーディガンを選ぶなら、品質表示の「アクリル○%」だけを見るのではなく、まず生地表面を確認してみてください。
「毛羽が多すぎないか」「編み目はどのくらい密か」「抗ピルなどの表示があるか」「自分が着るときにバッグなどでこすれ続けないか」まで考えると、購入後の毛玉に悩む可能性を減らしやすくなります。
すでに持っているアクリル製品についても、毛玉ができたからとすぐ処分する必要はありません。洗濯時と着用時の摩擦を少し減らし、できた毛玉を無理に引っ張らず丁寧に処理することで、きれいな状態を保ちやすくなります。
「毛玉ができない素材」を一つ探すより、毛玉が生まれにくい服を選び、摩擦を増やさない使い方をすること。それが、アクリル製品を含め、お気に入りの服を長く着るための現実的な毛玉対策です。

